ホーム  > 大学案内  > 総合政策学部の研究成果が特許に! 条件付特定外来生物アメリカザリガニの駆除に貢献する「ザリガニ捕獲トラップ用アタッチメント」

総合政策学部の研究成果が特許に! 条件付特定外来生物アメリカザリガニの駆除に貢献する「ザリガニ捕獲トラップ用アタッチメント」

zarigani01.jpg

岩手県立大学総合政策学部の鈴木正貴先生と学生の研究グループが開発した「ザリガニ捕獲トラップ用アタッチメント」が、令和8年1月19日に特許登録されました(特許第7807072号)。

本研究は、条件付特定外来生物であるアメリカザリガニの効率的な捕獲を目的に、研究成果を地域の現場に還元することを重視した実学実践型の研究として進められました。

長年の研究成果が結実し、特許証を手にする鈴木正貴先生

長年の研究成果が結実し、特許証を手にする鈴木正貴先生

研究背景:外来種問題と社会的要請

アメリカザリガニは、水田の畦畔崩壊や在来生物の捕食など、生態系と農業の両面に影響を及ぼす条件付特定外来生物です。全国各地で駆除が行われてきましたが、完全駆除に成功した事例は殆ど無く、捕獲効率を高めるための実用的な技術が求められてきました。

研究の出発点

本研究は、総合政策学部の学生による卒業研究を出発点としています。現場での外来種対策に課題意識を持った学生たちが、フィールド調査と試作、改良を重ねながら研究を進めてきました。

フィールド調査をする学生。アメリカザリガニの駆除に関する研究は約10年に及び、現在も継続しています。アタッチメントの開発には、三世代にわたる学生の研究成果が結集されています。

フィールド調査をする学生。アメリカザリガニの駆除に関する研究は約10年に及び、現在も継続しています。アタッチメントの開発には、三世代にわたる学生の研究成果が結集されています。

従来トラップの課題

市販されている籠型トラップは、安価で普及している一方、捕獲されたアメリカザリガニが網をよじ登り、進入口から再び外へ逃げてしまう「脱出」が頻発するという課題がありました。

開発の概要と特長

今回開発されたアタッチメントは、市販されている安価な籠型トラップに後付けできる簡易構造が特長です。柔らかい樹脂製シートを円筒状に設置し、中央に設けた落とし穴からザリガニをトラップ内へ落下させることで、捕獲後の脱出を防ぎます。

改良を重ねて完成した「ザリガニ捕獲トラップ用アタッチメント」。中央の穴からザリガニが落下します。

改良を重ねて完成した「ザリガニ捕獲トラップ用アタッチメント」。中央の穴からザリガニが落下します。

材料選択と寸法設計の工夫

シートの材質にはポリエステルまたはポリプロピレンを採用し、厚さ0.5mm程度とすることで耐久性と加工性を両立しました。市販の厚口クリアファイルを加工して製作でき、材料コストの大幅な低減が可能です。また、シートを半透明とすることで、すでに捕獲されたトラップ内の別個体が視認されにくくなり、新たな個体がトラップへの侵入を躊躇するのを抑制する効果も得られています。

当初は塩化ビニール管をアタッチメントに使用しましたが、暗条件となることで巣穴と誤認して定着する個体が見られたため素材を変更。安価で入手しやすいクリアファイルを活用しています。

当初は塩化ビニール管をアタッチメントに使用しましたが、暗条件となることで巣穴と誤認して定着する個体が見られたため素材を変更。安価で入手しやすいクリアファイルを活用しています

フィールド実験による効果検証

実際の池で行った比較実験によれば、従来の籠型の市販トラップのみでは203匹であった捕獲数に対し、本アタッチメントを装着したところ940匹を捕獲し、捕獲効率が4倍以上に向上しました。室内実験でも脱出個体がほとんどないなど、高い有効性が確認されています。

屋外実験は大学内の調整池で実施し、当初は一晩設置でしたが、現在は3日程度連続設置可能であることが分かりました。室内実験は子ども用のプールとCCDカメラを用いて行いました。

屋外実験は大学内の調整池で実施し、当初は一晩設置でしたが、現在は3日程度連続設置可能であることが分かりました。室内実験は子ども用のプールとCCDカメラを用いて行いました。

学生の学びと教育的意義

本研究では、学生が、設計、試作、屋内・屋外実験、改良、再実験といった一連の研究プロセスに主体的に関わってきました。教育と研究の成果が社会実装につながった点は、総合政策学部における実学教育の成果を示すものです。

過去の卒業研究の知見を活用しながら、学生が代々積み重ねてきた研究成果です。

過去の卒業研究の知見を活用しながら、学生が代々積み重ねてきた研究成果です。

今後の社会実装と期待

本アタッチメントは、低コストかつ短時間で着脱できることから、自治体や地域住民、学校などによる外来種対策への活用が期待されます。
岩手県立大学では今後も、地域課題に根ざした教育研究を通じ、社会に貢献する実学の実践を進めていきます。

現場での活用を想定し、安価な素材を使用。今後は素材の色や穴の大きさについても改良を重ねていく予定です。

現場での活用を想定し、安価な素材を使用。今後は素材の色や穴の大きさについても改良を重ねていく予定です。

鈴木正貴先生からひとこと

昨今、田んぼの周りに棲む生きものたちが、私たちの前から姿を消しつつあります。そこで、当ゼミではこれら生きものたち(主に魚類や貝類など)の保全を目的とした工法や手法の開発を主なテーマとして研究しています。アメリカザリガニ等の外来種の駆除も研究テーマの一つです。
総合政策学部では、文理融合の視点で、環境について深く学ぶことができます。興味のある方の入学をお待ちしています!

総合政策学部では、さまざまな領域において、みずからが取り組むべき問題を発見し、そのメカニズムを理解し、解決に向けて思考できる人材を育成します。 学生がさまざまな学問の成果を駆使して総合的に探求し、問題を解決しようとする思考プロセスを大切にします。

総合政策学部では、さまざまな領域において、みずからが取り組むべき問題を発見し、そのメカニズムを理解し、解決に向けて思考できる人材を育成します。
学生がさまざまな学問の成果を駆使して総合的に探求し、問題を解決しようとする思考プロセスを大切にします。

【関連情報】

特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7807072/15/ja
鈴木 正貴 | 教員紹介 | 岩手県立大学 総合政策学部

※籠トラップの使用は、都道府県知事による特別採捕許可を必要とする場合がありますので、事前に、都道府県の関係窓口(水産部局)に必ず確認しましょう。