EBPMカンファレンス「なぜEBPMは現場で使われないのか」を開催しました
岩手県立大学データサイエンス・リカレント講座では、2026年8月24日、アイーナ会議室803において、「EBPMカンファレンス ~なぜEBPMは現場で使われないのか~」を開催しました。自治体職員、大学関係者、企業関係者など幅広い立場の参加者が集い、EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)やデータ活用のあり方について学び、意見交換を行いました。

民間と行政の経験から考えるデータ活用
第1部では、デジタル庁 Chief Analytics Officer の樫田光氏による基調講演「データに基づく政策立案の最前線と目指すべき姿」を実施しました。
講演では、政府におけるEBPMの推進に加え、民間企業でデータ分析に携わった経験も交えながら、データをどのように意思決定や課題解決につなげていくかについて、多角的な視点からお話しいただきました。
特に印象的だったのは、分析手法そのものではなく、「物事をどう見るか」という視点の重要性です。商品やサービスそのものを見るのか、利用者に着目するのか、あるいは利用者の体験に着目するのか。見る視点によって課題の捉え方や改善の方向性は大きく変わるというお話は、多くの参加者にとって新たな気づきとなりました。
また、課題発見から企画立案、実行、効果検証に至るプロセスについても触れられ、担当者個人の経験や勘に依存するのではなく、組織として課題を理解し学習していくことの重要性が語られました。

自治体職員のリアルな経験から考えるEBPM
第2部のトークセッションでは、本学総合政策学部の杉谷和哉准教授をモデレーターに、樫田氏、本学宮古短期大学部の和川央准教授、岩手県総務部財政課の吉田沙織氏、奥州市総務部行革デジタル戦略課の藤澤弘江氏が登壇しました。
セッションでは、「なぜEBPMは現場で使われないのか」をテーマに、データ活用の壁や人材育成、組織づくりについて活発な議論が行われました。
今回の特徴は、成功事例を紹介するだけではなく、自治体職員が実際の現場で感じている悩みや苦労、試行錯誤の過程を共有した点です。現場での実践を起点に議論が進められたことで、参加者にとっても身近な課題としてEBPMを考える機会となりました。
吉田さんからは行政実務におけるデータ活用の経験が紹介され、藤澤さんからは業務改革(BPR)の取組を進める中で、結果としてEBPMにつながっていった奥州市の実践事例が紹介されました。
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活発な質疑応答と交流
第3部では質疑応答と意見交換が行われました。参加者からは、データ活用の進め方や組織内での理解促進、人材育成などに関する質問が寄せられ、登壇者との間で活発な議論が交わされました。
その後の交流時間では、参加者同士による情報交換や名刺交換も行われ、会場は終始活気に包まれていました。立場の異なる参加者が互いの経験や課題を共有する貴重な機会となりました。

おわりに
本カンファレンスでは、国、自治体、大学それぞれの立場から、EBPMの実践や課題について共有が行われました。データを活用すること自体を目的とするのではなく、現場の課題を理解し、より良い意思決定や業務改善につなげることの重要性について理解を深める機会となりました。
岩手県立大学では、今後も地域課題の解決やデータ活用人材の育成に向けた学びの機会を提供してまいります。