岩手県立大学広報誌県立大 ArchVol.76

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広報誌県立大Archの掲載情報をもとに作成されています。

研究フィールド

盛岡短期大学部生活科学科
講師 赤澤 真理あかざわ まり

京都府生まれ、東京都育ち。日本工業大学工学部卒業後、同大大学院工学研究科(博士後期課程)修了。国文学研究資料館研究員、同志社女子大学助教を経て平成28年に岩手県立大学盛岡短期大学部に赴任し、現在に至る。「休みの日は家でのんびりする」のがリフレッシュ法。オススメの盛岡グルメは「温麺」とのこと。

平安時代における歌合の装束・建築を復原したもの(寛子春秋歌合)

平安時代における打出の再現、御簾の下から装束を出す空間演出のこと

多様な視点で浮かび上がる日本古来の世界観

 「建物は単なる空間ではなく、生活の場。建築の間取りや様式を明らかにするだけでなく、住む人の温度や匂いを感じることが、私の研究テーマでもあります」。
 そう話すのは、建築の歴史を専門とする赤澤真理先生。現在、文学や服飾文化、書道学、工学といった異分野の研究者とチームを組み「古代中世における宮廷文化史の再構築」をテーマに研究に取り組んでいる。
 「『源氏物語』に代表される物語や和歌、絵画、工芸など、古代中世の資料や遺物は多数現存していますが、各分野で個別に考証されることがほとんど。それを複合的にアプローチすることで当時の暮らしや文化を立体的に浮かび上がらせたい」と赤澤先生。例えば建築史では、空間をがらんどうな状態で論じることが多いが、そこにどんな調度品が置かれ、どんな衣装を着て、何人で生活していたかによって「どのぐらい広いか」のスケール感は変わる。「同じように、個別研究では得られない視点や気づきを各分野の研究にも還元できる」と話す。
 平成30年には、平安時代の歌合のようすを立体CGで再現。「資料から読み取れる解釈は何通りもあり『実際はこう』と断定できるものではありませんが、可視化することで音や匂い、色彩といった当時の空間が浮かび上がり、より考察を深めることができる」と話す赤澤先生は「この研究の成果をいかし、いずれは平泉文化の研究にも貢献したい」と考えている。「当時の平泉における住まいの空間を、同じ時代の京都や鎌倉と比較しながら、浮かびあがらせて、中世日本文化のひろがりを考えていけたら、と思っています」。

看護学部 助教
蘇武 彩加そぶ あやか

岩手県二戸市出身。岩手県立大学看護学部卒業。岩手県立大学大学院看護学研究科(博士前期課程)修了。市町村保健師を経て平成21年に母校・岩手県立大学に赴任。趣味はバイクでツーリング。

看護学部 教授
上林 美保子うえばやし みほこ

岩手県盛岡市出身。宮城大学大学院看護学研究科(博士前期課程)修了。市町村保健師を経て岩手県立大学看護学部開学と同時に赴任。地域看護学の科目を受け持つほか、看護学部学生就職委員長も担当。

看護学部 講師
岩渕 光子いわぶち みつこ

岩手県一戸町出身。北里大学看護学部卒業後、岩手県立大学大学院看護学研究科(博士前期課程)修了。保健所保健師などを経て平成11年に岩手県立大学看護学部に赴任し、地域看護学などを担当。最近はまっているのは断捨離。

研究成果をまとめた報告書

どこにいても必要なケアが受けられる仕組みを目指して

 超高齢化時代の到来を見据え、これからの医療・介護のあり方として国が推進する「地域包括ケアシステム」。だれもが住み慣れた地域で、自立した生活を最期まで送ることができるよう、それぞれの地域の医療や介護、生活支援などの多分野が連携し一体的に支える仕組みだ。
 山間地が多い岩手県は医療機関へのアクセスも決して充分とは言えない。そのため公的な医療機関が数多く設置されている。地域医療の最前線でもあるこうした施設での看護の現状と課題を把握することで、地域包括ケアを支える「看護の質の向上」につなげたい。そんな思いで実態調査に取り組んだのが、上林美保子先生、岩渕光子先生、蘇武彩加先生だ。
 「私たちが所属する地域看護学講座は、主に地域をフィールドに活動する看護職(訪問看護師や保健師など)の育成に携わっています。この調査により、地域の医療施設の強みを明確にし、その魅力を地域に根差した看護を目指す学生に伝えたい、という思いもありました」。
 県内に29ヵ所ある国民健康保険診療施設を対象にアンケート調査を実施。その結果、人手不足などの課題はあるものの、患者さんに丁寧に関われる、他職種と連携しやすい、といった小規模ならではの強みと地域の特性を活かした地域包括ケアが行われていることもわかった。「これまでほとんど調査されていなかった国民健康保険診療施設の実態を具体的に把握できたのは大きい。調査結果を県内の関係機関で共有し、今後の取り組みに生かしたい」と岩渕先生。調査を通じて施設との距離が縮まり、看護教育における協力体制がもてたことも成果の一つ。「看護活動の広がりに貢献できるきっかけになれば」と、期待する。