8月上旬、大学の教職員の子どもたちが参加して「夏休み子ども職場見学」が行われた。これは男女共同参画の取り組みの一環で、親の仕事への理解を促すもの。岩手県立大学では、教職員のキャリアアップの支援や働きやすい職場づくりを目指して、様々な取り組みを始めている。
男性女性に関係なく、教職員が仕事と暮らしを両立できる環境づくりは、一人ひとりがより良い人生を送る上でとても大事なこと。特に多くの学生を教え導く教育現場では、教職員の働き方・生き方は学生が今後の人生を考える際に、ひとつの手本となり得るはずだ。
男女共同参画といった場合、多くの大学では女性教職員数の増加や役職への登用などに重点が置かれるが、看護学部や社会福祉学部のある岩手県立大学では、もともと女性教職員が多く、女性の参画は当たり前のこと。大学の個性を生かした参画のあり方を考えるため、本学では平成25年度からニーズ調査を実施し、平成26年度には社会福祉学部を中心とした教職員の有志が子育て支援活動を行うなど、働きやすい環境を整えるための取り組みを段階的にスタートさせた。
平成27年度には、全学で男女共同参画を推進していくため、教職員とアドバイザーで構成される中核組織「男女共同参画推進センター」を設置。さらに推進協力員として各学部等の教職員が参加し、現場視点から、働きやすい職場づくりを目指した活動を始めている。
この4月、鈴木厚人学長が先導して「岩手県立大学・男女共同参画推進のための学長宣言」を出し、男女共同参画の実現と働きやすい環境整備などに積極的に取り組んでいく指針を打ち出した。
学内の意識も高まっており、週休日の臨時託児の実施や教職員同士で意見交換を行うランチミーティングの実施、男性教職員で子育てについて語り合うイクメン座談会の実施など、仕事と家庭の両立に関する様々な話し合いや取り組みが進められている。右ページで紹介した「夏休み子ども職場見学」もその一つ。大学がどんな場所で、親たちがどのように働いているのかを、子どもたちに知ってもらうことで、仕事への理解を深めてもらう取り組みだ。
「子育てや介護、男性の育児休業の取得、女性のキャリアアップなどを見据え、いかに働きやすい職場をつくっていくか、教職員自らで考えていくことが大切。現場から出る意見やアイディアを生かしながら、ベストなやり方を模索しています」と、石堂淳センター長。病児保育や学会出張時のベビーシッターの派遣といった具体的なサポートの検討も始まっており、県立大学らしい環境づくりが進んでいる。