岩手県立大学広報誌県立大 ArchVol.73

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地域フィールド

総合政策学部
准教授 桒田 但馬くわだ たじま

京都府出身。立命館大学法学部を卒業後、同大大学院政策科学研究科修士課程修了、経済学研究科博士課程単位取得満期退学。2007年に岩手県立大学総合政策学部に赴任。農村活性化をテーマにした研究が縁で「岩手県洋野町ふるさと大使」も務めている。

総合政策学部
准教授 近藤 信一こんどう しんいち

三重県出身。早稲田大学社会科学部を卒業後金融機関に就職。国際関係学を学ぶため立命館大学大学院国際関係研究科に進み修士課程修了、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得満期退学。(財)機械振興協会経済研究所の研究副主幹等を経て2013年に岩手県立大学総合政策学部に赴任。専門は経営戦略論。

研究の「バトン」を受けパワーアップ被災地の水産業を「成長産業」に!

 岩手県の主な産業のひとつでありながら、人材不足や高齢化など衰退化が進む三陸沿岸の水産業。岩手県立大学では「東日本大震災津波からの復興加速化プロジェクト研究」としてその課題に取り組み、総合政策学部・新田義修先生のチームが「水産加工流通業の競争力強化と雇用の拡大」をテーマに考察を行ってきた。
 その研究を「企業間連携」「協業化」「高付加価値化」といった別の視点から補強し、質・量的にもパワーアップさせよう、と意気込むのが、経営戦略論や中小企業論を専門とする近藤信一先生と、財政学、地域経済論の桒田但馬先生だ。テーマは「被災地における水産業のイノベーション」。経営組織論を研究する多摩大学・野坂美穂先生をメンバーに加え、水産業を「成長産業」へと転換していくためのプロセスを考察・検証していく。
 「私は外部との競争戦略や企業間連携、桒田先生は地域や行政など周辺環境との関わり、野坂先生は経営組織論に基づく内部の組織改革、といったように、3人がそれぞれの専門性や知見を持ち寄り、補い合うことで複合的な研究が実現できる」と近藤先生。今後はインタビュー調査などで集めたデータをもとに仮説を立て、それを現場で検証する実証研究を行う予定だ。
 「頭の中で考えた理論はあくまで仮説。現地でそのまま通じることはほとんどない。だけど、その想定外の驚きや発見に出会えるところが、研究のおもしろいところ」。そう語ってくれた近藤先生と桒田先生。本格的な研究はこの秋始まったばかり。水産業の復興が待たれる三陸で、どんな「驚きと発見」に会えるだろうか。

総合政策学部
講師 平井 勇介ひらい ゆうすけ

埼玉県出身。富山大学理学部を卒業後、就職を経て環境社会学を学ぶため筑波大学に編入。早稲田大学大学院に進み人間科学研究科博士課程修了。2015年から岩手県立大学総合政策学部講師。休日は、4歳になる娘と遊ぶのがもっぱらの楽しみ。


多様な物差しで「復興感」を指標化し被災地の「本当の復興」を支えたい

 東日本大震災津波以降、地域に根ざした大学としてさまざまな復興支援活動を行なっている岩手県立大学。総合政策学部では、震災直後から「地域コミュニティの復興研究」というプロジェクトを立ち上げ、それぞれの教員が研究活動を行なってきた。平井勇介先生が今年春から取り組んでいる「生活復興感の指標化」も、そのひとつだ。
 「生活復興感(復興に対する実感)は、復興政策を進める上での重要なキーワード。これまで復興感を測るアンケート調査は、世帯収入や家の再建といった経済的・心理的な側面からのアプローチが一般的でした。しかし現地で話を聞くと、被災地の住民が望む生活復興は、地域の文化的・社会的な側面とも深く関連していて、単純な物差しでは測りきれない。もっと多様な側面から復興感を測ることができれば、より住民の思いに寄り添った復興政策やまちづくりに還元できるのではと考えました」。
 この研究は大船渡市の協力のもと、フィールドワーク(質的調査)を担当する平井先生と茅野恒秀先生(信州大学)、アンケート調査(量的調査)を担当する本学の堀篭義裕先生、金澤悠介先生(立命館大)、阿部晃士先生(山形大学)が連携し行われる。地域文化の多様性を指標にあてはめることはとても難しいため、今後の復興政策に大きく貢献することが期待されるが「実際に政策に取り入れられるようになるのはまだ先。10年あっても足りないぐらい」と平井先生。まずは3年後を目処に、暫定的な指標を設定するのが目標。「この研究を通じて、地域が望む復興のかたちを見つめたい」と意気込む。