来年の2018年6月、岩手県立大学は創立20周年を迎える。「地域の大学」として地域に根ざした教育・研究活動を実践し、これまで輩出した卒業生は約1万2000人(平成29年4月現在)。記念すべき年を目前に控え、大学へ寄せる想い、これから期待することなどを教員たちに聞いた。
私は前身の岩手県立盛岡短期大学時代から教員を務めていますが、国際文化学科は岩手県立大学の開学時に創設され、世界に羽ばたく人材を育てるための新しい学科。生活科学科は、衣服と住居を学ぶ生活デザイン専攻と、栄養士を育てる食物栄養学専攻があり、共に多くの人材を輩出してきました。
この20年の間に学生も活発になり、外部コンテストや海外研修、ボランティアなどにも参加し、学生に自主性と積極性が生まれています。印象深いのは、10年前にシェイクスピア学会を開催した時のこと。全国から集まった先生方に「とても良い学生がいますね」と褒められたのが嬉しかったですね。
盛岡短期大学部の魅力は、学生たち自身。彼らが育んできたことが大学の土壌をつくり、学ぼうとする意欲が教員を触発してくれる。今後は、学科専攻の枠を超えた新たなことにも挑戦していきたいと考えています。
私は赴任して5年目なのですが、実は15年くらい前にシンポジウムに出席するため岩手県立大学を訪れたことがあるんです。その時はまだ大学院生で、岩手山の美しい姿とキャンパスがきれいなことが印象に残っていますね。
縁あって教員となったわけですが、社会福祉学部は就職率が高く、卒業生の多くが専門職に就いています。学びと仕事が直結しているため、大学で身につけた知識を仕事の現場で生かすことができるのが特徴。調査やボランティアを通して地域との関わりも深く、専門職に就いた卒業生とは研究の協力や共に学ぶ仲間として、良い関係を築いています。
今後の大学を考えた時、必要となるのは明確なビジョン。何を目指していくのかをはっきりと打ち出せば、教員サイドで議論できる場も生まれるはず。大学独自の個性を育てることが大切だと思います。