岩手県立大学広報誌県立大 ArchVol.75

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CampusTopics

[実 践 教 育]

例えば、馬っこパークに集客できるアイデアはないか?園内をもっと楽しく廻れる仕掛けはできないか?
ソフトウェア情報学部では、地域の課題解決に向けて、提案力や開発力を高める教育プログラムに取り組んでいる。
文部科学省に採択されたenPiT(エンピット)事業を通して、大学の特色である「実践教育」に焦点を当ててみよう。

9大学と連携しながら新たなネットワークを広げる

enPiTの「システムデザイン実践論」では、地元企業4社と学生たちがチームを組み、
馬っこパークの課題解決をテーマとしたシステム開発に取り組んだ。

 ソフトウェア情報学部では、平成16年度から学生の主体的な教育・研究・創造を促すためPBL(Project Based Learning)を取り入れてきた。これは学年横断的にチームを組み、学生たちが自分たちの手でシステムの提案・開発を行いながら、課題解決に取り組むプロジェクト。このPBLをさらに発展させるため、実践教育に力を入れている大学と共同で、平成28年に「enPiT」に申請し、採択された。
 このenPiTは、IT技術を活用して社会の様々な課題を解決できる人材を育成するため、複数の大学と産業界による全国的なネットワークをつくり、実際の課題解決に向けて実践的な教育を実施・普及する事業。FD研修会やシンポジウムなどを通して教育のノウハウを共有できるほか、連携大学の学生や教員間で交流できる機会もあり、様々な学びや刺激を得ることができる。
 県立大学が関わるビジネスシステムデザイン分野は、社会や顧客ニーズに対し実用的なソリューションを提案・開発できる力を育成。筑波大学を中核拠点に、9大学が連携している。

実務経験が豊富なシステム技術者と、より実践的なシステムを開発

ロボットに対応する技術を使って、
新たなシステムのアイデアを
企業のシステム技術者と話し合う学生たち。

 このenPiTで県立大学が目標とするのは、ICT/loTを用いた新たなサービスを創出することができる、知的探究心と想像力(デザイン思考)を備えた「イノベーション人材」の育成だ。基礎知識学習→PBL基礎→発展学習と段階的に学ぶ枠組みの中、特徴的なのが既存の実践科目を活用して体系的な教育カリキュラムを整えていること。さらに、首都圏・地域企業と連携し、より実践的な教育を行っていることだ。
 今年度は大学に隣接する「馬っこパークいわて」で新たなサービスを行うためのシステム提案・開発に取り組んでおり、地域企業のシステム技術者と一緒にチームを組み、企業が提供する技術を使って学生がアイデアを提案、設計から制作までの一連の流れを体験した。
 このようにenPiTでは、地域企業を中心に20社以上の企業のシステム技術者と学生たちが直に議論する場を設けることで、学生のモチベーションアップや進路選択につなげているほか、県立大学の教育・研究活動にも様々な刺激やメリットをもたらしている。

[企業・地域と連携した実践教育例]

【ソフトウェア情報学部「プロジェクト演習」】

 

学年横断的にチームを組み、コンピュータを活用するプロジェクトを企画・提案。自分たちで調査したり、考えをまとめたり、メンバーと議論を重ねる中で、ものごとの考え方や議論の仕方を学び、主体的に行動できる力を育む。

【総合政策学部「キャリア・デザインⅡ」】

 

実社会で通用する就業力を育成する3年次の必修科目で、盛岡駅ビル・フェザンと連携し、地元企業の新商品の開発プロジェクトに取り組んでいる。学生たちはチームに分かれ、業界研究・マーケティング調査・企画という商品開発プロセスを体験し、販売まで手がけている。

【基盤教育科目「地域コミュニティとまちづくり」】

 

まちづくりでの現場での課題や地域コミュニティの意味について、実例を学びながら考えを深める科目。授業では、①地域コミュニティ・ブームの再考②地域コミュニティと学生ボランティア③地域コミュニティと産業(生業)の3つのテーマを設定。テーマごとに解説を受け、各自で情報をリサーチした後、グループディスカッションやまとめの発表を行う。

[学生メッセージ]

小野 峻明さん
ソフトウェア情報学部3年

 

「enPiT」のシステムデザイン実践論で、馬っこパークの課題を見つけ、その解決につながる観光アプリのシステム開発に取り組みました。授業では知ることのできない企業の最新技術や新たな知識を学び、学生同士でアイデアを出し合い、意見をまとめていくプロセスはとても面白く、刺激になりました。
5日間のプログラムを通じて発想力を磨くことにより、自分の考えを形にする楽しさを知り、学びに対して受け身だった意識が変化。新しいものを生み出そうという意欲が芽生えたことが、自分にとって大きな収穫でした。