地域と連携した教育・研究活動に取り組み、「地域の大学」をモットーに掲げる県立大学。さらに地域志向を高め、地域の将来を担う人材を育成するために、平成28年度に開設したのが「いわて創造教育プログラム」だ。
これは、1年次全員が必修として受講する、地域や大学の特色を知り自身と岩手との関わりを考える科目「いわて創造入門」をスタートに、県内各地に学生が赴き、一泊二日のフィールドワークを通して地域について学ぶ「いわて創造学習」、最終的にこれまでの学修成果を「いわて」の視点でまとめる「いわて創造実践演習」などの授業を通して、段階的に地域課題を解決できる力を身につけるプログラムだ。岩手を深く学ぶことによって未来を創造する人材を育成する、新たな教育の柱となっている。
開学以来、様々な研究活動に取り組んできた県立大学では、平成23年3月の震災をきっかけに、県民のシンクタンクとしての役割を果たす「地域政策研究センター」に、被災地や被災者のニーズに対応する『震災復興研究部門』を設置。さらに平成26年度からは、「東日本大震災津波からの復興加速化プロジェクト研究」に取り組んでいる。
具体的には、被災地の復興計画を3D地形モデルに落とし込み役立ててもらうプロジェクトや、ICTを活用した見守りによる孤立防止とコミュニティづくりの支援、水産加工品の競争力を強化していくための研究プロジェクトなどを展開。暮らし、産業・経済、社会・生活基盤の多分野に渡り、研究成果を地域に還元しながら沿岸地域の復興を支えている。
県立大学が掲げる「地域社会への貢献」を実現する取組の一つであり、大きな特徴でもあるのが、学生によるボランティア活動だ。県内で唯一の「学生ボランティアセンター」は、地域のボランティアニーズを学生活動につなげるコーディネートを行っており、学生自らが運営を担っている。
これまでの活動では、大学周辺地域の滝沢市川前地区でのパトロールや防犯拠点づくりを行う「川前パトロール隊」、住民と学生が交流し、地域とのネットワークを広げる「Donabe_Net」、全国の学生と被災地をつないで災害復興支援を行う「いわてGINGA_NETプロジェクト」、西和賀町で高齢者のための雪かきボランティアをする「西和賀プロジェクト」などを行ってきた。
県立大学では、これからも地域に根ざした学生によるボランティア活動を展開していく。
開学から20年が経ち、人口減少や地域経済のグローバル化の進展、東日本大震災津波など、大学を取り巻く環境も大きく変わった。その中で求められるのは、次代を切り拓く人材育成であり、さらなる学術研究の充実である。
県立大学では平成29年度から6年間の新たな方向性を指し示す「第三期中期計画」を作り、「いわて創造人材の育成と地域の未来創造に貢献する大学」を目標に掲げた。これを実現するため、開学以来取り組んできた「実学実践による教育・研究活動」に加え、これまで以上に地域志向教育を充実させ、岩手に新たな価値を生み出す研究や地域貢献活動に力を入れていく。そして、何より学生の主体性を大切にし、次代を切り拓く人材を育てていくことが、岩手の可能性を拓くことにつながっていくはずだ。
開学20周年、おめでとうございます。4年間の学生生活で、地域社会に貢献することの素晴らしさを実感し、常に新しい発想を大事にするチャレンジ精神を培えたことが、今に繋がっています。私は現在、岩手県の魅力を海外へ発信し、外国人観光客の誘客拡大を図る仕事をしていますが、仕事上でも後輩に会う機会が増えており、嬉しい限りです。在学生の皆さんには、大学の恵まれた環境の中で自分を磨き、岩手そして世界で活躍されることを期待しています。
開学20周年、おめでとうございます。在学中は、2年間という短い学生生活でありながら、密度の濃い貴重なキャンパスライフを楽しむことができました。中でも「さんさ踊り」に参加したことが印象深く、みんなで協力し、一つになれたことはかけがえのない思い出であり、様々な経験が今の私につながっています。現在は、大好きな岩手に就職し、子育てをしながら仕事を続けています。母校の益々の発展をお祈りしております。
開学20周年おめでとうございます。宮古短期大学部は、学生が主体性を持って学ぶことができる大学です。私は学生時代、地域創造プログラム(現:いわて創造学習)で陸前高田・大船渡コースの企画を担当。苦労することもありましたが、仲間の協力や支えのおかげでプログラムをやり遂げることができました。その時の経験やチャレンジする姿勢は、社会人となった今も活かされています。母校の今後のさらなる飛躍を期待しております。
平成10年4月 | 岩手県立大学開学/西澤潤一学長就任 盛岡短期大学を岩手県立大学盛岡短期大学部に改称 宮古短期大学を岩手県立大学宮古短期大学部に改称 |
平成12年4月 | 岩手県立大学大学院開設(ソフトウェア情報学研究科博士前期・後期課程、総合政策研究科博士前期課程) |
平成13年5月 | 中国・河北省社会科学院との国際交流協定を締結 |
12月 | 韓国・慶尚大学校との国際交流協定を締結 |
平成14年4月 | 岩手県立大学大学院開設(看護学研究科博士前期課程、社会福祉学研究科博士前期課程、総合政策研究科博士後期課程) |
平成15年12月 | 中国・大連鉄道学院(現・大連交通大学)と国際交流協定を締結 |
平成16年4月 | 岩手県立大学大学院開設(看護学研究科博士後期課程、社会福祉学研究科博士後期課程) |
5月 | ソフトウェア情報学部教育プログラムをJABEEが認定 |
7月 | 文部科学省特色GPにソフトウェア情報学部が採択 |
平成17年4月 | 公立大学法人岩手県立大学設立/谷口誠学長就任 岩手県立大学地域連携研究センター設置 |
平成18年4月 | アイーナキャンパスがオープン 共通教育センター設置 |
8月 | 盛岡短期大学部の国際文化教育が特色GPに採択 |
9月 | 韓国・又松大学と国際交流協定を締結 |
平成19年8月 | 文部科学省の「社会人学び直し」に社会福祉学部の「コミュニティカウンセラー」が採択 看護学研究科文部科学省「平成19年度がんプロフェッショナル養成プラン」に採択 |
平成20年4月 | 公共政策研究所設置 学生ボランティアセンター設置 |
9月 | 文部科学省「大学教育充実のための戦略的大学連推進プログラム」に「いわて高等教育コンソーシアムにおける地域の中核を担う人材育成と知の拠点形成の推進」採択、岩手高等教育コンソーシアム設立 |
平成21年4月 | 中村慶久学長就任 |
5月 | 滝沢村(現滝沢市)と地域経済分野に関する協定締結 滝沢村(現滝沢市)IPUイノベーションセンター開所 |
平成22年9月 | 文部科学省「大学生の就業力育成支援事業」に「岩手の地で鍛える学生主体の確かな就業力」採択 |
平成23年4月 | 災害復興支援センター設置 地域連携棟内に「地域政策研究センター」設置 |
8月 | 学生災害ボランティアセンター、いわてGINGA-NETプロジェクト発足 |
9月 | いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンター(i-MOS)設置 |
11月 | 文部科学省「大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業」に「いわての教育及びコミュニティ形成復興支援事業」採択 |
平成24年2月 | 「復興girls*」が社会人基礎力グランプリ2012決勝大会で準大賞を受賞 |
6月 | 文部科学省「地域イノベーション戦略支援プログラム」に「いわて研究と人にやさしい次世代モビリティ開発拠点」採択 |
9月 | 文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」に「産官学連携による地域・社会の未来を拓く人材の育成」採択 |
10月 | ラーニング・コモンズ開設 |
12月 | 宮古市田老総合事務所に「岩手県立大学復興サポートオフィス田老」開所 |
平成25年4月 | 高等教育推進センター設置 |
5月 | 釡石・大槌地域産業育成センターに「岩手県立大学復興サポートオフィス釡石」開所 |
平成26年3月 | ソフトウェア情報学部の「プロジェクト演習」が経済産業省の「社会人基礎力を育成する授業30選」を受賞 |
5月 | 文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業【テーマB】インターンシップ等の取組拡大」に東北の「結い」で繋ぐふるさとインターシップの拡充採択 |
7月 | ラーニング・コモンズ「多目的スペース風のモント」開設 |
平成27年4月 | 鈴木厚人学長就任 |
9月 | 文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+事業)」に「ふるさといわて創造プロジェクト」(幹事校:岩手大学)採択 |
11月 | ゲストハウス開設 |
12月 | 総合政策学部の学生チームが「社会人基礎力育成グランプリ2016」地区大会にて準優秀賞を受賞 |
平成28年4月 | 学生サポートサロン(アイプラス)設置 |
7月 | 男女共同参画推進センター設置 |
10月 | 文部科学省「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT)」事業(運営拠点大阪大学)において、ソフトウェア情報学部がビジネスシステムデザイン分野の連携校として採択 |
11月 | 外務省対日理解促進交流プログラム(KAKE-HASHI Project)によるアメリカ派遣事業に採択 |