平成30年4月、岩手県立大学は開学20周年を迎える。「地域の大学」として地域に根ざした教育・研究活動を実践し、これまで輩出した卒業生は約1万2000人(平成29年4月現在)。記念すべき年を目前に迎え、大学へ寄せる想い、これから期待することなどを教員たちに聞いた。
私自身も岩手県立大学の卒業生で、3期生です。振り返れば大学時代は、人生で一番勉強に没頭した時期。周りもみな貪欲に学んでいましたし、先生方には看護学だけでなく、多くの経験を積んで豊かに生きること、自分の意見を持つことの大切さを教わりました。
県外の病院で助産師として働いた後、看護学部の教員になったのですが、大学院は社会福祉学研究科へ。うちの大学は4学部ありますから、看護学部に所属しながら他学部の研究科で学ぶことができるのも魅力の一つ。自分のテーマの一つである「就労妊婦への支援」を追究するために、臨床心理学の観点から人間を理解し、研究に向き合えたことは大きな収穫でした。
開学以来、ずっと地域に根ざしてきた教育の歴史は、他の大学にはないものです。これを基盤に、指導環境をより充実させることで、優れた人材育成ができ、看護学部の発展にもつながっていくと思います。
無限の可能性がある。カラマツ林に囲まれた、新しい、大学の敷地やガラス張りの建物をみて感じたことです。何十年も経てば、緑に調和する伝統的なヨーロッパの大学のようになっていくのだろうか、とも期待しました。開学当時は、すべてがほぼゼロからのスタートであり、教職員、学生が議論を重ね、いい大学をつくろうという気概に満ちていたように思います。
私が所属する総合政策学部は、行政・経営、環境・地域など広い視野と多様性という特色があり、地域課題に直結した領域を学び、実践できるのも大きな特徴です。
この20周年という節目に思うのは、目先のことばかりに囚われると可能性が狭まってしまうこと。もっと自由に、さらに20年、いや100年先をも見据えて、道を選んでいくことが、可能性を広げていくことになるはずです。その為にも、あえて一度立ち止まり、しっかりと未来の方向性を考え、議論することが、必要ではないでしょうか。