平成21年度財務状況

教育研究活動の活性化と大学運営業務の最適化への取組み

平成21年度に法人化5年目を迎えた岩手県立大学では、中期計画に基づき、教育研究の活性化や地域と連携した研究活動を推進するとともに、本部体制の見直しなどによる大学運営業務の最適化に取組みました。

その結果、産学連携等研究収益の前年比25%増加などの成果をあげている一方で、運営費交付金収益の削減などにより経常収益全体では前年よりも減少しています。今後も引き続き外部研究費等の獲得や、効率的な業務運営に取組みます。

岩手県立大学の財務状況(平成22年3月31日現在)

※1 資産見返負債とは、法人が固定資産を承継・取得した場合に、当該資産の見返りとして同額を負債に計上し、減価償却処理により費用が発生する都度、取崩して収益化する、減価償却による損益計算への影響を与えないための公立大学法人特有の処理です。

学生および教員一人あたりにかかる経費(平成21年度)

平成21年度の大学教育および研究等における経費は、岩手県立大学全体で44億6,591万円でした。教育経費と教育研究支援経費、教員人件費の一部を含めた、学生一人あたりの教育経費は約97万円です。また、教員一人あたりの研究経費は約290万円です。

大学教育および研究等にかかる経費

総計4,465,910千円

学生一人あたりの教育経費

972千円

※ 2教員は研究と教育を行うため、教育に係る人件費を1/2とした。

教員一人あたりの研究経費

2,886千円

平成21年度の収支状況〈収入〉

収入のおよそ70%は、岩手県からの運営費交付金です。
岩手県立大学の自主財源の割合は、授業料、入学金および検定料、産学連携等研究収益等を合わせた26.7%です。

項 目 金額(千円) 割合
(%)
備 考
運営費交付金 4,246,990 70.2 県から運営費として交付されたもの
授業料 1,204,826 19.9 大学独自の収入(自主財源)
入学金および検定料 241,875 4.0
産学連携等研究収益 57,223 0.9 企業や団体から委託された研究
および事業における収入
補助金等 16,934 0.3 大学改革推進等補助金、寄付金等
寄付金 11,813 0.2
資産見返負債戻入※ 158,973 2.6  
その他 115,064 1.9  
合計(A) 6,053,698    

※資産見返負債戻入とは、資産見返負債から資産減価償却額の見合いを収益化したものです。

平成21年度の収支状況〈支出〉

支出のうち、教育および研究等にかかる経費はおよそ37%です。平成21年度は産学連携等研究収益が、金額・割合ともに前年より増加しています(前年比+25.4%)。

項 目 金額(千円) 割合
(%)
備 考
教育費 1,233,636 22.5 大学教育および研究等に係る経費
研究費 676,063 12.3
教育研究支援費 108,084 2.0
産学連携等研究費 58,322 1.1 企業や団体から委託された研究
および事業に係る経費
役員人件費 10,873 0.2 役員、教員、非常勤講師
および事務局等の職員人件費
教員人件費 2,448,127 44.7
職員人件費 573,739 10.5
一般管理費 367,966 6.7 光熱水費、修繕費、消耗品費等
合計(B) 5,476,810    

平成21年度収支(A-B)

576,888千円

平成21年度においては、学内情報システム経費の見直しの過程で機器更新等を一部翌年度に繰り越したことや、県人事委員会勧告に準じた給与改定等により、総利益が前年比で3億4千万円余の増となっています。当期総利益に関しては、目的積立金等に積み立てる予定となっています。

過去5年間の収支

岩手県立大学の運営経費は、約7割が県からの運営費交付金によりまかなわれていますが、県の交付金の算定ルールにより毎年度、対前年度比1.5%ずつ削減されています。このため、全体の収益も減少傾向にあります。

収入

支出

Pick UP コラム エネルギー消費を抑えた、環境共生型キャンパス

岩手県立大学のキャンパス建設においては、100年先を見すえたさまざまな省エネルギー技術が取り入れられています。環境負荷を最小限に抑え、光熱費・冷暖房費の削減にも有効ないくつものシステムにより、エコな施設として2001年には「第15回空気調和・衛生工学会振興賞」の技術振興賞を受賞しました。

空調用外気の温度を地中熱により調整するクールヒートトレンチ(外気溝)や、自然光を取り入れることで日中は照明のいらないトップライト(天窓)、自然の風の流れを生かす吹き抜け構造など、自然エネルギーを有効に活用するパッシブソーラーシステム(※1)の発想を随所に生かしています。また、排気熱利用などのコージェネレーションシステム(※2)を採用し、一般的設計に比べ運用段階のCO2排出量を38%削減する設計になっています(H21運用実績)。

平成21年度には、キャンパスの階段や廊下をLED電球に取り替えることで電気代を従来の1/3に抑えるなど、環境対策に力を入れています。

(※1)パッシブソーラーシステム:
太陽や風などの自然エネルギーを施設に取り入れ有効に活用する技術や仕組みのことです。

(※2)コージェネレーションシステム:
発電機・排熱の冷暖房などへの利用で相互効率を上げる仕組みのことです。