平成22年度計画

中期目標の確実な達成を図る

平成22年度は、法人化第一期の中期目標期間6年間の最終年度にあたります。中期目標・中期計画に掲げた事項が達成されるよう年度計画を定め、未達成の項目の着実な達成を図るとともに、暫定的な評価により把握された課題の解決に向け、取組む必要があります。

このような中で平成22年においては、平成21年度に引き続き、下記の5つの重点事項をブレークダウンしながら積極的に取組んでいきます。

平成22年度において重点的に取組む事項(全体計画)

1 教育力の一層の向上

教養教育と専門教育の融合による「人間教育」を実現する基盤を確立するとともに、高度な専門性と幅広い社会的知性を兼ね備えた「地域社会を担うリーダー」を持続的に養成していく教育システムの構築に取組みます。

(1)修学指導方法の充実
(2)授業評価を含む組織的・体系的なFD活動(※1)
(3)教養教育のあり方についての検討
(4)国際交流の推進
(5)大学院の定員の適正化の検討

(※1)FD(Faculty Development)活動:教員がより質の高い教育を提供できるように、教育内容や教授能力を改善・向上させるための組織的な取組みの総称

2 地域の課題に向き合った研究活動

地域に根ざした県立大学として地域に一層貢献していくため、これまでの研究活動を基盤に、地域の課題を解決するための具体的な取組みを推進するとともに、県政をリードする提言や政策提案を行う体制の構築を図ります。

(1)JST産学官共同研究拠点の整備
(2)県民のためのシンクタンク機能の強化
(3)科学研究費補助金等の外部資金獲得の促進
(4)地域貢献活動の積極的な公表
(5)公開講座の一層の充実

3 県内高等学校との強固な関係の構築

地域の人材育成について、高校生の学力水準向上と学問への関心を高めることをめざし、高大接続教育の推進をはじめ、高大連携事業を広く展開することにより、本学志願者の増加を図ります。

(1)高大連携事業の強化
(2)入試区分の違いによる学力に対応した教育システムの検討
(3)入試制度全般に関する継続的な検討
(4)入学志願者の確保

4 不況期にあっても高い就職率を維持

学生のキャリア形成意識の醸成と、効率的・効果的な就職活動環境の提供により、就職活動と学業との両立など就職支援対策を強化し、不況期においても高い就職率を維持します。その中で、県内企業の開拓と相互理解を促進し、卒業生の県内定着を推進します。

(1)キャリア教育の支援
(2)きめ細かい就職支援方策の拡充
(3)就職先の開拓と相互理解の促進
(4)県内定着の推進

5 教育研究活動推進力の抜本的な強化

大学運営の基盤である教育研究の諸活動をより強力に展開するとともに、教育力の向上、地域課題への対応、高等学校との関係強化、就職支援対策強化を十全に行っていくため、大学運営業務の最適化を図りながら、教育研究活動における環境整備に取組みます。

(1)大学運営組織の役割・権限の明確化による業務の最適化
(2)教職員定数管理の適正化と教員評価システムの構築
(3)広報・広聴活動の充実
(4)財務状況の改善
(5)施設管理及び安全確保対策の強化

平成22年度計画(詳細計画の抜粋)

  • 教育の成果、効果を検証する具体的方策の一環として、入学後早い時期に学生の修学目標を調査のうえ設定し、「学生カルテシステム」の活用により就学指導方法を充実させます。
  • 教養教育実施体制の見直しの一環として、国公私立大学間の積極的な連携を推進する「戦略的大学連携支援事業」に基づき、主務校として「地域人材育成講座(いわて学)」を開講します。
Pick UP コラム 岩手県を総合的に学ぶ 「いわて学」とは?

国際通用性や教育の質の保証など、大学を取りまく状況を踏まえ、地域の中核を担う人材育成や、大学進学率の向上をめざし、いわて5大学学長会議参加校(岩手大学・岩手県立大学・岩手医科大学・富士大学・盛岡大学)の連携強化により展開される、「いわて高等教育コンソーシアム」。教育研究環境の基盤整備や、教育力の向上、大学進学率の向上、地域の活性化などに取組むなかで展開される事業のひとつが本学が主務校として行う「いわて学」です。

岩手県の歴史や文化、共生の思想、産業などを総合的に学べる講座を開設し、5大学の学生に対し教養科目として単位を認めています。公開講座もあり、各大学の教員のほか、岩手県知事など識者による講義が行われています。

  • 外部資金公募情報の提供や説明会の開催のほか、教員個々の研究内容に沿った対応を強化し、競争的外部研究資金の獲得に向けた支援活動を実施します。
  • 研究成果等を県民に還元するとともに、地域課題の解決に資するため、公募型地域課題研究の新規採択を行うほか、より身近な地域活動を支援するため、地域貢献調査活動助成を行います。
  • 自治体等の政策課題の調査研究機能、政策形成のためのデータバンク機能、自治体等からの受託研究等を受け入れるコンサル機能等を有する県民のためのシンクタンクの体制を整備します。
  • 高大連携の強化を図るため、メニューに基づいて出前講義を実施するほか、高等学校による本学見学の積極的な受け入れを行います。
  • 業務運営の改善及び効率化のため、理事長、学長の役割分担の明確化を図ります。また、意思決定の迅速化、大学運営の効率化のため、3本部体制から4本部体制に見直しするとともに、本部及び本部長の役割、副学長の役割権限の明確化を図ります。
  • 適切な研究実施体制の整備のため、地域産学官共同研究拠点事業において学内横断的な体制づくりを進めるほか、拡充したリサーチアシスタント制度の活用を図ります。
  • がん看護研究会を設立し、CNS(※2)コース院生及び修了生の学習強化と臨床現場との情報共有をめざします。県内の医療施設に対して、CNS修了生とともにがん看護の出張講義を行います。(看護学研究科)
  • 学生が多様な経験を積んで専門的能力が高められるよう、西和賀町と地域包括協定を締結し、学びのシステム化を図るとともに、拠点づくりをめざします。(社会福祉学部)
  • ユビキタスを共通のテーマとして取り上げた「ユビキタス情報社会を実現するソフトウェアの研究」を、学部プロジェクトとして引き続き推進します。(ソフトウェア情報学部・研究科)
  • 地域の課題に向き合い、学部プロジェクトとして行っている地域貢献研究会は、調査・研究が最終年度を迎えることから、これまでのフィールドワークの成果として、研究結果をまとめます。(総合政策学部)
  • 日本語でのコミュニケーション能力を涵養するために、e-ラーニングの導入を引き続き進めます。e-ラーニングについては、国際文化学科の英語分野ではすでに導入され、生活科学科食物栄養学専攻においても資格関連での活用が始まっていますが、他の科目、分野においても範囲を広げていきます。なお、e-ラーニングはあくまで補助的手段と考え、自学自習の充実に役立てます。(盛岡短期大学部)
  • 学生の学習意欲や進路への関心の向上をねらい、ゼミにおいて三陸沿岸地域の企業を中心とした各種機関への見学等を行う仕組みをつくり、定着させます。(宮古短期大学部)

(※2)CNS(Certified Nurse Specialist):専門看護師