未来ソウゾウ_002

コロナ禍での国際教育

コロナ禍によって、世界の状況は大きく変わりました。この難しい時代に、私たちはどのように世界と向き合い、学んでいくべきなのか。グローバル社会における人材育成に力を注いできた本学が、コロナ禍の今、取り組んでいる「国際教育」についてご紹介します。

オンラインで韓国の学生たちと交流し、会話力とコミュニケーション力を深める

 グローバル社会が進展する今、岩手に暮らしていようとも、世界で起こっている様々な問題は決して他人事ではありません。これからの若者たちに求められるのは、自分の身の回りに起きる出来事や地域の課題などを、世界的な視野で俯瞰して捉える力と感性を磨くことです。
岩手県立大学では、世界と足並みを揃えてグローバルな取組を進めていくため、2019年5月に国連アカデミック・インパクト(※)に加盟。盛岡短期大学部国際文化学科では、地域から世界へと視野を広げ、国際人としての知見を身につけるため、多様な文化を学べる様々なカリキュラムを用意しています。
しかし、2020年から世界に蔓延した新型コロナウイルス感染症によって状況は一変、大学の授業も変更を余儀なくされました。例年であれば、1年次の「国際文化理解演習」において、アメリカまたは韓国での海外研修が行われていましたが、2020年度はやむなく中止。2021年度は、オンラインで慶煕大学校国際教育院の韓国語授業が行われることになり、7名の学生が受講しました。
受講期間は3週間、午前中は韓国語の文法の学びと様々なシチュエーションの中でスピーキング能力を磨き、午後はKーPOP、韓国ドラマ、ハングルカリグラフィーなどの文化を学びます。オンライン授業は、学生が好きな場所で受けることができるほか、少人数クラスのため先生から丁寧な指導が受けられることがメリット。また、「トウミ」という慶煕大学に在学中の韓国の学生と1対1で交流できるプログラムもあり、それぞれ親交を深めました。
「韓国研修の目的は、ハングル、韓国の文化や歴史を学ぶとともに、韓国の学生たちとの交流を通して異文化を理解する際の姿勢を学ぶことにあります。新型コロナウイルス感染症の影響により、本年度は遠隔による授業を実施しましたが、こちらが想像していた以上に、ハングルの習得はもちろんのこと、トウミとの交流も行われ、学生にとって実りある研修となりました」と、国際文化学科の石橋敬太郎教授は話します。コロナ禍であっても、積極的に研修に参加し、少しでも多くのことを吸収しようと語学の習得に励む学生たち。今後は選択肢の一つとして、オンラインを活用した授業を取り入れていくことも想定しています。

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増子 葵咲 さん

[盛岡短期大学部・国際文化学科・1年]

オンライン授業では実際に話す場面が多かったので、コンプレックスだった発音が鍛えられ、会話力が上達したと思います。好きな分野なのでとても楽しく、50分授業があっという間でしたね。トウミとなった韓国の女子学生とはLINEで会話し、好きな食べ物や趣味の話で盛り上がったり、スタンプをもらったりしました。

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野辺地 鈴華 さん

[盛岡短期大学部・国際文化学科・2年]

中学時代から韓国に興味を持っていたので、海外研修の中止はとても残念でした。でも、オンライン授業で韓国の文化や日常生活を感じられたことは楽しく、多くの学びを得ることができたと思います。韓国語も最初はわからなかったのですが、だんだん耳が慣れ、2週間目ぐらいから理解できるようになりました。

(※)国連アカデミック・ インパクト(UNAI)とは?

 国連アカデミック・インパクトは、各大学が社会貢献をしながら、国連と世界各国の教育機関の活動を連携させることを目的としたプログラムで、国内でも85機関が加盟(2022年1月現在)。岩手県立大学では、UNAIに関連する様々な取組が行われていることから、2019年5月に加盟しました。
  本学では[原則6:国際市民としての意識向上][原則8:貧困問題への取組][原則9:持続可能性(SDGs)の推進][原則10:異文化間の対話や相互理解の促進]、以上の4つの原則に取り組んでおり、異文化理解のためのイベントやワークショップ、海外留学を活用した社会課題を解決する学習プログラム、海外の大学とのSDGsの課題に関する活動を実施。グローバル社会における各地域や国、世界における大学の社会的役割を追求していきたいと考えています。

2020年度の国連アカデミック・インパクト活動報告書はこちら