平成22年度財務状況

大学運営の効率化の取組みと外部研究資金獲得

 平成22年度は法人化一期6年間の最終年度にあたり、評価方法の改善や教員定数の見直しを含めた大学運営の効率化、外部研究資金の導入など、中期目標の達成に向けた取組みを推進しました。
 その結果、平成23年度からの中期計画期間における教員の定数縮減計画の検討や、事務等における人事給与システムの新システムの移行など、大学運営の効率化を図っています。
 また、科学研究費補助金の応募率向上に取り組んだ結果、全国的に厳しい採択環境の中、52,411千円の研究費を受けることができました。

岩手県立大学の財務状況(平成23年3月31日現在)

※1 資産見返負債とは、法人が固定資産を継承・取得した場合に、当該資産の見返りとして同額を負債に計上し、減価償却処理により費用が発生する都度、取崩して収益化する、減価償却による損益計算への影響を与えないための公立大学法人特有の処理です。

学生および教員一人あたりにかかる経費(平成22年度)

 平成22年度の大学教育および研究等における経費は、岩手県立大学全体で41億1668万円でした。教育経費と教育研究支援経費、教員人件費の一部を含めた、学生一人あたりの教育経費は約88万円です。また、教員一人あたりの研究経費は約251万円です。

●大学教育および研究等にかかる経費

●学生一人あたりの教育経費

●教員一人あたりの研究経費

平成22年度の収支状況〈収入〉

 岩手県立大学における収入の68.7%は、岩手県からの運営費交付金です。授業料、入学金および検定料、産学連携等研究収益等から資産見返戻入を除いた、自主財源の割合は28.3%です。

項 目 金 額(千円) 割 合(%) 備 考
運営費交付金 3,940,328 68.7 県から運営費として
交付されたもの
授業料 1,204,793 21.0 大学独自の収入(自主財源)
入学金及び検定料 222,575 3.9
産学連携等研究収益 52,411 0.9 企業や団体から委託された
研究および事業における収入
補助金等 18,633 0.3 大学改革推進等補助金、寄付金等
寄付金 11,169 0.2
資産見返負債戻入 167,444 2.9  
その他 115,886 2.0  
合計(A) 5,733,239    

※資産見返負債戻入とは、資産見返負債から資産減価償却額の見合いを収益化したものです。

平成22年度の収支状況〈支出〉

支出のうち、教育および研究等に係る経費はおよそ33%です。

項 目 金 額(千円) 割 合(%) 備 考
教育費 1,028,477 19.7 大学教育および
研究等に係る経費
研究費 582,899 11.2
教育研究支援費 124,120 2.4
産学連携等研究費 52,167 1.0 企業や団体から委託された
研究および事業に係る経費
役員人件費 8,920 0.2 役員、教員、非常勤講師
および事務局等の職員人件費
教員人件費 2,381,184 45.7
職員人件費 607,471 11.7
一般管理費 428,453 8.2 光熱水費、修繕費、消耗品費等
合計(B) 5,213,691    

平成22年度収支(A-B) 519,548千円

過去5年間の収支

 運営経費の約7割が県からの運営費交付金によってまかなわれていますが、法人化の際の運営費交付金の計画(毎年1.5%ずつ減額)に沿って、剰余金の有効活用を図りながら、法人化のメリットを生かした経営の効率化を図ってきました。

収入

支出

Pick UP コラム 外部研究資金の獲得増加を目指した取組み

 岩手県立大学では、学内研究者の相互連携などによる研究活動の活性化を図ることで、外部研究資金の獲得増加を目指した取組みを推進しています。外部資金公募情報の積極的な提供や説明会の開催、教員個々の研究内容に応じたきめ細やかな対応など、競争的外部研究資金の獲得に向けた支援活動を実施してきました。
 平成22年度には、JSTの社会技術研究開発事業の研究開発領域において「ICTを活用した生活支援型コミュニティづくり」が採択され、3年間で8,000万円超の研究費を受託しました。この研究は岩手県内の自治体および社会福祉協議会、一般企業等と連携しながら、高齢者の身体的・心理的異変や生活支援に対応できる情報の流れとコミュニティの支援体制を開発、検証するものです。
 このほかにも平成22年度は、岩手県の「高度組込み技術者養成システム整備事業補助金」、「ものづくり・ソフトウェア融合技術者養成事業補助金」の交付決定を受けました。
 今後も地域に貢献する大学として、一層の研究活動の活性化や、外部研究資金の獲得拡大を目指した取組みに力を入れていきます。