①解決を目指す課題(何を解決するのか)
地域の環境市民団体はその多くが、運営者と参加者の高齢化や時代性の変化に伴い持続できなくなることが多い。環境市民団体が持続可能であるためには、これまでのような運営側数人によるストイックでボランティア精神の環境保全でなく、他分野横断型で若者を継続的に巻き込める“まちづくり”的なアプローチが必要であると考えられる。加えて今日、地方都市においては、過疎化・経済低迷などから厳しい地域運営の現状がある。この課題を乗り越える上では、その地域の魅力・資源を読み解きながら、人と地域が相互に持続的に発展していく仕組みと形づくりが求められる。その魅力と資源の一つとして環境は有効な資源とテーマである。その上で本研究は、環境をテーマ・手段としながら、人と地域の持続的に育むことを目指す。衰退しつつある奥州市の環境市民会議「奥州めぐみネット」を実事例として、その活動を未来に渡って持続可能とするために、またその活動と共に地域と人の育みが持続するしくみを構築していく。そのための諸条件をまちづくりの視点から探り、新たな地域・市民活動としての環境市民会議の在り方を形成・提案する。
②実施方法・取組みの概要
・奥州市環境市民会議「奥州めぐみネット」の活動を基盤にしながら、多世代・他職種の地域各主体を巻き込むことを通じて、現状の課題を抽出・整理して課題の本質を明らかにし、その課題の解決策を検討する。
・特に若者が参加者や運営者として関わりたくなる環境保全活動について、学生を含む10代から30代の意見を基に整理し、ナッジ(nudge)理論などの行動経済学や情報発信の仕方、広報デザインの観点等も踏まえて、環境活動における人の巻き込み方と効果・課題を検討する。
・「奥州めぐみネット」の既存人材に対して“環境団体の理想的な在り方”等に関するワークショップを開催し、運営者側の意識の統一を図るとともに、課題を解決できる内部人材の育成を目指す。
環境保全活動を循環型まちづくりとリンクさせる方法を探るなかで、地方都市のモデル形成を狙う。
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