1 現状 (1) 現在、宮古地域には 27 か所の公共牧場があり、そのうち 21 箇所は放牧地として利用され、畜産農家から牛を一定期間預かり、飼養管理を行って いる。 (2) 放牧地では、毎日、牛の頭数や状態を確認する看視を行う必要があり、 放牧地は広大で起伏もあるため、看視作業に多大な時間を要している。ま た、多くの公共牧場では、看視人の人手不足、高齢化が進んでいる。 (3) (一社)田野畑村産業開発公社が管理・運営している長嶺牧場では、村 内の酪農家から約 70 頭 の雌子牛を預かり放牧を行っているが、毎日朝夕の 看視にそれぞれ約1時間(約2時間/日)を費やしており、多大な労力と なっている。 (4) 管内では、これまでに GPS 首輪を利用した看視作 業省力化の実証(令和 3年度)が行われたが、地理的、費用的な要因により活用が進んでいない。
2 課題 (1) 公共牧場では、看視人の人手不足、高齢化が進み、看視に係る省力化が 求められている。 (2) また、長嶺牧場では、牛舎で飼育している子牛の飼養管理や農家に販売 する粗飼料の生産・収穫作業があることから、看視に係る省力化が必要と なっている。 (3) 省力化技術は、地理的要因に左右されず、低コストなものが求められて いる。
3 目的 畜産農家 の飼養の負担軽減や粗飼料生産基盤として利用されている公共牧場は、管理する職員の高齢化、人手不足が進んでいるため、職員の管理業務にか ける時間、労働力を軽減させ、省力化を図る。
4 協働研究の内容 (1) 現地調査を実施するとともに、ドローン種、運行方法、撮影方法などを 試行しながら確認する。 (2) 撮影した映像に対し、深層学習を利用した物体検出手法を利用して牛の 位置を確認した後、牛の頭数を確認する手法や調子の悪そうな牛を検出す る手法の実現可能性について検討する。 (3) ドローンと連携して動作可能なセンシングデバイスについて、センサ種、 通信方式などを、必要性・実現可能性も含めて検討する。
5 次年度以降の取組 検討した手法の中で、実現可能性の高い手法について、引き続き実証調査を 行い、省力化技術の確立を図る。合わせて、公共牧場関係者や畜産農家などを 対象に現地見学会を開催し、技術の共有を図る。
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