平成26年度事業実績

中期計画の実現と、岩手県の復興に向けた取り組みを推進

 平成26年度は、第二期中期計画の4年度目として、中期計画の着実な推進に加え、復興支援の取り組みも組み入れて年度計画を策定しました。中期目標として掲げている「地域の中核人材育成と活力創出に貢献する大学」として、学生や地域の期待に応えていくため、6つの重点計画を中心に計画を推進するとともに、全学一体となって復興支援の取り組みを行いました。

平成26年度のおもな事業実績

① 目的意識や学習意欲にあふれる入学志願者の戦略的な確保

■ 効果的な高大連携事業の推進

オープンキャンパス、キャンパス体験、進学相談会などの志願者確保に向けた取り組みを県内外で実施しました。また、高校と大学が一体となって入試を取り巻く課題を解決するため、「岩手県立大学高大接続委員会」を設置し、具体的な解決策を検討しました。

■ 大学院入学料免除制度の創設と定員充足に向けた取り組みの実施

本学からの内部進学者の経済的負担を軽減するため大学院入学料免除制度を創設するとともに、各研究科で関係者や保護者に向けた説明会を開催するなど、定員充足に向けた取り組みを実施しました。

■ 被災学生への経済的支援

東日本大震災津波で被災した学生に対する授業料(延べ37名)及び入学料(44名)の減免を継続するとともに、学業奨励金「被災学生特別枠」による貸与を継続し、被災学生8名、大学院生2名に対して奨励金を交付しました。

② 体系的で一貫性のある教育プログラムの実践

■ 基盤教育改革の推進

高等教育推進センターにおいて、英語科目と情報処理科目の改革を行い、平成27年度からのカリキュラム改正に反映させました。また、基盤教育改革を推進していくため、「高等教育推進タスクフォース」を設置し、諸課題について検討を開始しました。

■ 地域を志向した教育の推進

学生の主体的・能動的な学びの機会を作るため、フィールドワークを取り入れた「地域創造学習プログラム」を県内5地区(宮古、大槌、釜石、西和賀、盛岡・滝沢)において実施し、140名の学生が参加しました。また、卒業研究等において、地域に密着した課題等の研究に取り組みました。

■ 国際交流の推進

本学の国際交流の基本的方向を定めた「岩手県立大学国際交流方針」を策定しました。学生の海外派遣については、韓国・中国に加え、新たに米国ボストンでの海外研修に関する教育プログラムを設置したほか、国際交流協定機関との交流を行いました。また、海外の研究者・留学生等が滞在できる宿泊施設(ゲストハウス)の整備に向けて、県と協力して準備を行いました。

■ 新カリキュラムの評価・調整

各学部において、学生に対する新カリキュラムの周知を徹底。さらに新カリキュラムと学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)及び教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)との整合性に関する評価、調整等を行いました。

③ 就業力育成と就職率維持、県内就職の推進

■ 公務員試験対策の強化

公務員試験対策の強化を図るため、講座コマ数や模擬試験の機会を増やすなど、内容を刷新した公務員試験対策講座を開講しました。

■ 学生ボランティア活動の支援

「被災地支援を行う学生ボランティア活動への支援事業」により、「いわてGINGA-NET」をはじめ8グループの活動を支援しました。その結果、被災地での学習支援や観光振興支援、子供の遊び場作りの支援などの取組が行われました。

■ IPU-Eマップの円滑な運用

総合政策学部及び盛岡短期大学部では、IPU-Eマップ(学生の就業力評価書)を活用した就業力の自己評価システムを定期的に実施し、データ集積を行いました。

「地域創造学習プログラム」宮古コースの様子

「いわてGINGA-NET」春銀河での漁業支援活動


■ キャリア形成科目の充実

学生に職業観を身につけさせるため「キャリアプランニングセミナー(人間と職業)」や各学部のキャリア形成科目のなかで、外部講師を招き多様な企業と接する機会を提供しました。また、ソフトウェア情報学部や総合政策学部では正規科目のなかでインターンシップを実施しました。

④ 地域に評価される研究の推進と成果の公表

■ 研究成果発表会の開催

「岩手県立大学研究成果発表会」を9月19日、20日の二日間に分けて開催し、本学の多様な研究成果を広く県民に公開しました。
【i-MOSの部】 講演:12講演、パネル展示:24課題
【地域政策研究センターの部】 講演:16講演、パネル展示:39課題
【学生の部】 講演:11講演、パネル展示:12課題

■ 地域課題に対応した研究の推進

地域政策研究センターの地域協働研究や学部プロジェクトにより、震災復興をはじめとする地域課題解決のための研究を推進しました。また、観光関係の研究を行っている本学の教員で構成する「岩手の観光で復興を考える研究会」では、観光案内や防災学習に利用できる情報配信システムの研究を行い、実用化を目指しました。

■ 科学研究費補助金の応募率向上に向けた支援

科学研究費補助金(科研費)の応募率向上を図るため、新たに「ブラッシュ・アップ助成費」を創設し、学外の研究者から、研究計画書のブラッシュアップに係る助言・指導を受けるために要する経費を助成しました。採択した5件のうち4件が科研費に応募しました。

⑤ 産学公連携の強化とシンクタンク機能の発揮

■ 「復興加速化プロジェクト」の創設

地域政策研究センターにおいて、震災復興に資することを目的に、新たに学部横断的な「東日本大震災津波からの復興加速化プロジェクト」を立ち上げ、次の研究を開始しました。
ア 釜石地区におけるICTを活用した孤立防止と生活支援型コミュニティづくり
イ 岩手県沿岸地域における水産加工流通業の競争力強化と雇用の拡大

■ i-MOSにおける技術者養成と製品開発の推進

「いわて環境と人にやさしい次世代モビリティ開発拠点プロジェクト」において研究活動に取り組み、事業化に向け試作機の制作などを実施しました。また、高度技術者養成講座については12講座を実施したほか、三次元造形技術に関する若手技術者を育成するための研修会を4講座開催しました。

■ 滝沢市IPUイノベーションセンターとの連携促進

平成26年5月に滝沢市IPU第2イノベーションセンターが開所し、平成27年3月31日現在の第1・第2イノベーションセンターの入居状況は18社となりました。産学連携コーディネーターによる本学教員と企業との共同研究のマッチング支援やソフトウェア情報学部の一部授業を開放することなどにより、滝沢市IPUイノベーションセンター入居企業との協業を促進しました。

⑥ 大学の理念等の実現に貢献する教職員の育成

■ サバティカル研修制度の導入

教員の教育研究能力の向上を図るため、教員の大学における業務を免除し、一定期間にわたり自主的教育・研究に専念できるサバティカル制度を導入し、1名が取得。なお、平成27年度には2名が取得することが決定しました。

■ 人材育成ビジョン&プランによる職員のキャリア形成支援

家庭の事情等により宿泊を伴う研修に参加することが難しい職員向けに、新たにeラーニング研修を実施。また、職員のキャリア形成支援の新たな取り組みとして、公立大学協会事務局への派遣研修を行う体制を整えました。

■ FDとSDを融合させた新たなプログラムの実施

FD(ファカルティ・ディベロップメント)とSD(スタッフ・ディベロップメント)を融合させた「全学FD・SDセミナー」を2回開催。大学教育改革の動向を知るとともに、各学部からの事例報告を通してカリキュラム構築の考え方を共有しました。

「岩手県立大学研究成果発表会」を9月に開催

第2回全学FD・SDセミナーの様子