vol.80

岩手県立大学広報誌WEB版

このページは岩手県立大学広報誌「県立大Arch!」のWeb版です。
広報誌「県立大Arch!」の掲載情報をもとに作成されています。

県立大Arch!innovationを発信 研究室探訪

情報 ソフトウェア情報学部 高木研究室

人工知能を応用したチャットボットで
オンラインにも適した学習環境を構築

ソフトウェア情報学部
高木正則 准教授

埼玉県出身。創価大学大学院 工学研究科 情報システム工学専攻(博士課程)修了。情報処理学会、教育システム情報学会、日本教育工学会等所属。2010 年より岩手県立大学ソフトウェア情報学部勤務。

キーワードは学生主体の「自己調整」!

 ソフトウェア情報学部で授業を受け持つ高木准教授は、教育工学を専門としています。研究室では地域の問題解決に関わるシステム提案などのほか、教育や学習に関する研究に取り組んでいます。

 なかでも特に力を入れているのは、「自己調整」をキーワードとした、学生が主体となった学習環境の構築です。学生は事前にeラーニング教材を使って予習し、授業の最初に行う確認テストによって理解度をチェック。わからない点をチャットボットに書き込むと、関連する補足説明動画が推薦され復習することができます。それでも理解が難しい場合は、授業中に教員や教育アシスタントが個別に対応します。

 このように予習を宿題として、授業では発展的演習や個別対応をするスタイルを反転授業と呼び、高木准教授は7年ほど前から取り入れています。反転授業はそれぞれがしっかりと理解した上で次のステップへ進めるため、学生からの満足度も高い傾向にあります。

 また、この授業を支援するために開発した学習支援システムでは、目標や学習の進め方、テストの結果、自己評価など、さまざまなデータを蓄積して可視化します。そうすることで学生が主体的に自己調整するための『気づき』を支援するのです。

 高木准教授は「人は人と話すことで考えがまとまったり、自分の長所に気づくことがあります。今は新型コロナウイルスの影響で人と会うこと自体が難しくなり、オンライン学習の機会も増えています。そうした社会に適した環境を整えることと、何より学生が主体となって学ぶためのサポートをしたいと考えています」と語ってくれました。

check!自己調整

自分で考えて主体的に学ぶ「自己調整」をテーマに研究する高木准教授

check!チャットボット

学生はチャットボットとの対話を繰り返すことで気づきを得て、次の学習へとつなげていきます

研究室はこちらから

経営 宮古短期大学部 齋藤研究室

企業の社会的価値に新しいものさしを。
サステナビリティ経営への提案

宮古短期大学部
齋藤香織 准教授

福島県出身。麗澤大学大学院経済研究科経済学・経営学専攻博士課程修了。日本マネジメント学会、日本経営システム学会所属。2014 年より岩手県立大学宮古短期大学部勤務。

経営学でステークホルダーと企業の橋渡し

 宮古短期大学部で、経営情報科目群の教科を中心に教鞭を執る齋藤准教授。もともとは理学部で流体力学を専門に地球のマントルに関する研究を行っていましたが、「大学での研究を社会に生かすためには、研究成果をどう応用するのか、世の中の問題だけでなく、経済や企業の活動を理解する必要がある」と考え、大学院で経営学を学びなおしたという経歴の持ち主です。

 現在は経営学を専門とし、企業の価値測定と情報開示のあり方を研究テーマに据えています。企業活動の主目的は利益を出すことです。お金で測れる利益は会計情報として算出され財務情報として開示されますが、重要なのはその利益がどのような活動から生み出されたのかという点です。利益だけでは測れない企業の本質的な価値を評価するためには、その企業の経営理念や戦略目標を理解した上で企業活動のプロセスを評価する必要があります。そのため現代社会においては、企業が自らの社会的意義を定義し、経営を行うことが求められているのです。そこで重要になるのがESG(環境・社会・ガバナンス)に関する活動であり、近年よく耳にするようになったSDGs(持続可能な開発目標)を指針とする、社会や環境に配慮した活動です。企業価値を形成するドライバーとなる社会や環境に対応した活動を、どのように実践してその成果を示すのか、会計情報として示される利益とどのようにつながっているのかを明らかにすることが研究の目的です。

 経営学は文系分野ですが数学を活用してその仕組みや現象に迫る動きがあります。企業活動をより一般的に捉えて社会への影響を明らかにするため、数理モデルの構築にも取り組まれています。世界中の専門家と連携して研究を行うため、学会やインターネット等で情報交換を行いながら、精力的に研究活動に取り組んでいます。

check!研究のメインは論文作成

学会誌などへの論文掲載も多く行っている齋藤准教授。「理論研究なのでどこでも研究はできます」と語ります

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