vol.78

岩手県立大学広報誌WEB版

このページは岩手県立大学広報誌「県立大Arch!」のWeb版です。
広報誌「県立大Arch!」の掲載情報をもとに作成されています。

県立大Arch!innovationを発信 研究室探訪

食品 社会福祉学部 宮城研究室

農業のチカラで地域を元気に
「農村版地域包括ケアシステム」

くるみ味ってどんな味?

社会福祉学部
宮城好郎 教授

東京情報大学 経営情報学研究科 経営情報学専攻(博士課程)修了。岩手県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 コミュニティ福祉系教授。

福祉と農業で創る、地域の「農福連携」!

 社会福祉学部で福祉サービス領域の研究を行う宮城好郎教授。平成23年頃から花巻市での「農村版地域包括ケアシステム」構築に携わり、大学と地域が連携した実践を重ねています。

 一般的に地域包括ケアシステムとは、「高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した生活ができるしくみ」のこと。宮城研究室では、農業を中心にした福祉と交流の集落づくりに注目しました。「地域の高齢者の多くが元農家でもあり、地域の耕作放棄地に福祉農園を整備。現地のワークショップからガマズミという食用の実を育てるアイディアが生まれ、6次産業化にも成功しています」と宮城教授。販売方法にも評価が集まります。「集落出身者などに手紙を送り、ふるさとの地域づくりに携わって欲しいと伝えました。理念に共鳴する人が継続的な顧客になっています」と語ります。生きがいや居場所づくりだけでなく、地域外との交流も生まれています。

 実践における大学の役割は、活動の枠組みの整理、地域の思いの整理などです。一番大切なポイントは、地域住民が主体となることだと宮城教授は語ります。活動を通じて学生にも変化が生まれました。初めは土に触れなかった学生が、実践を経て農協に就職した例もあるそうです。「私たちは学ばせていただき、地域では意欲が向上する。相互の刺激が生まれています。里山の風景や現地の風を感じて人の体温を知る。それを大学に持ち帰って理論としてまとめる。理論と実践を両輪に研究を進めています」と話してくれました。

check!福祉農園

花巻市の福祉農園で作業を行う学生。卒業研究テーマに選んだ学生もいます

check!ガマズミのゼリー

山に自生するガマズミの実は昔ながらのおやつ。ゼリーなどに加工し販売されています

看護 総合政策学部 市島研究室

有権者の投票行動や、政策の予算配分から
「選挙と政策」の関係を分析します

目指すのは、健康寿命を延ばしていくこと

総合政策学部
市島宗典 准教授

慶應義塾大学大学院 法学研究科 政治学専攻 後期博士課程単位取得退学。岩手県立大学 総合政策学部 総合政策研究科准教授。総務省主権者教育アドバイザー、岩手県政策評価委員会委員。

投票はゴールではなく、社会参加のスタートです

 総合政策学部で公共政策論などの講義を担当する市島宗典准教授。専門は政治学で、「選挙と政策」が主な研究テーマです。研究成果を社会に広く還元することで、市民の政治への関心を高め、政策決定にも影響する大きな役割を担う学問です。市島准教授は論文執筆や講演活動のほか、自治体が設置する「明るい選挙推進協議会」にも参加。選挙がある時期には依頼が増えるというマスコミ取材などにも応えています。

 市島研究室のもうひとつの大きなテーマが「主権者教育」です。主権者教育とは、将来有権者となる児童や生徒などに向け、国家や社会の形成者である意識を育み、政治の仕組みを知って地域の課題解決などを主体的に担う力を身につけるものです。選挙権年齢の18歳への引き下げをきっかけに、大学をはじめ地域や学校、家庭などが連携した主権者教育が推進されるようになりました。岩手県立大学でも選挙に合わせ、学生有志によって投票の呼びかけが行われています。「ニュースなどでは、政治への関心が低いために投票率が上がらないと言われます。しかし関心が高くても投票に行かない層もいます。問題は『選挙に行っても変わらない』という意識です。『選挙に行かなければ変わらない』という認識に変えていかなければいけません。大切なのは多くの有権者が投票に参加し、社会の意見バランスが正確に反映された議会で、議論が交わされることです。選挙は目的ではありません、公正な社会を創るための手段です」と語る市島准教授。主権者教育がもたらす選挙や政策への関心の向上により、よりよい社会が創造されることが期待されます。

check!投票の呼びかけ

滝沢市公式キャラクター「ちゃぐぽん」と共に投票を呼びかける学生有志(2019年7月、岩手県立大学にて)

check!選挙啓発活動

期日前投票のPRなど、学生有志による選挙啓発活動が行われている様子(2019年7月、岩手県立大学にて)

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