innovationを発信 研究室探訪
盛岡短期大学部
千葉研究室
「食品化学」の研究を通じ、
健康で豊かな食生活を支えます
盛岡短期大学部
学部長 千葉俊之
農学博士。東北大学農学研究科食糧化学専攻(博士課程)修了。岩手県立大学盛岡短期大学部学部長、同学部生活科学科教授。
くるみ味ってどんな味?
県立盛岡短期大学の時代から教鞭をとり、現在は学部長を務める千葉俊之教授。食品化学分野の「脂質化学」を専門としています。近年では、岩手県の郷土食に欠かせない「クルミ」の研究者として知られるようになりました。「岩手県の一部には、美味しいという意味の『くるみ味』という方言があります。震災復興の一環で、地域に馴染みの深い食材として、岩手のクルミに関する研究を行いました。意外なことに、岩手のクルミの成分を研究した事例は初。県民の皆さんに、公開講座などでも興味を持っていただいています」と千葉教授。
健康食品としても、しばしば注目される食用油。その機能性に興味を引かれるという千葉教授。「研究室の中のデータや研究成果は、皆さんの食卓に還元されることが理想です。健康で、豊かな食生活を支える研究でありたい」と語ります。
岩手県立大学の強みである学部間連携を生かし、社会福祉学部や看護学部と共に、高齢者向け食品の開発を行ったことも。「短期大学部の中だけでも多岐にわたる専門分野の先生がおり、文系的アプローチと理系的アプローチが可能です。さらに学部間、そして、地域との相互の関わりによって、お互いに得るものが増えるような取組が進むと良いと思います。当大学の教員は、地域をより良くしたいという思いを持った人ばかりです。研究のサポートや応援を、これからもお願いしたいと思います」と、学部の展望を語ってくれました。
分析機械
クルミ
看護学部
老年看護学講座
岩手で考える「高齢社会」
地域の健康をサポートする看護学
健康チェック・健康相談会場にて
左から、小嶋美沙子講師、千田睦美教授、鈴木睦助教、渡辺幸枝講師
目指すのは、健康寿命を延ばしていくこと
「老年看護」は、健康な方から医療が必要な方まで、高齢者全般を対象にしています。医療機関、高齢者施設などで活躍する分野で、看護学部の老年看護学講座には、千田睦美教授をはじめ4名の教員が在籍しています。
9月上旬、地域の高齢者を対象に毎年開催されている「健康チェック・健康相談」の会場でお話を伺いました。「地域貢献と学生の実習を兼ねた取組で、骨密度測定や体力測定などを行っています。地域の何でも相談室です」と千田教授。「老年看護学講座では、高齢者の看護を明るく元気に考えています」と話してくれました。
岩手県立大学で働く前は、県立病院の看護師だった小嶋先生。岩手の高齢者の多さを肌で感じ、大学教員の道を選びました。「みんな親や親族がいて、自分もいずれ年老いていく。誰にとっても他人事ではないのが老年看護です。自分がまだ達していない年齢のことを学ぶ、奥が深い分野でもあります」と語ります。渡辺先生と鈴木先生は、看護学部の卒業生。「家族の脳卒中をきっかけに、老年看護に興味を持ちました。地元の看護学部で学べたのは大きいです」と鈴木先生。渡辺先生は「老年看護の社会的意義は、健康管理をサポートして、健康寿命を延ばすこと。久慈市での介護予防に関する取組や、遠野市での口腔機能の維持・改善への取組など、自治体や他学部と連携したプログラムにも取り組んでいます」と教えてくれました。