コロナ禍によってオンライン面接が常態化したり、インターンシップのあ り方が変わるなど、様々な変化がもたらされた近年の大学生の就職戦線。しかし、どんなに環境が変わっても、学生たちが描く将来の夢を全力でサポートするのが、キャリアセンターです。すべての学生たちが、「なりたい自分」を実現できるように、様々な支援活動を行っています。
入学したばかりの学生の多くは、「就職活動なんてまだまだ先の話」と思っているかもしれませんが、実はそうでもありません。入学時にどのような将来を目指すかで、取るべき科目もその後の大学生活の過ごし方も大きく変わってきます。
岩手県立大学のキャリア教育では、働く意味を考える全学共通の科目での学びをはじめ、各学部の専門科目を体系的に組み込んでいるほか、就職に向けた活動全般の支援をキャリアセンターが担っています。
「就職支援のスタンスは、学生一人ひとりの希望に沿った進路を実現するために、それぞれに合ったサポートを行うこと。学生自身が主体的に考え、選び、自分なりの答えを出していけるよう、手助けをすることが私たちの役割です」と話すのは、キャリアセンターの西野泉さん。低学年から参加できる就職ガイダンスなどを開催し、将来を考えるキッカケづくりを行っているほか、学年に応じて必要な就活イベントを実施しています。
センター内には、キャリアコンサルタントという専門の資格を持つ職員が3名常駐。就職活動の進め方だけでなく、自分の考えをどのように整理すればよいのか、将来のキャリアをどのように考えていけばよいのかなど、一人では解決しにくい相談や悩みにも丁寧に対応してくれます。また、キャリアセンターでは学部の就職担当の教員とも連携し、日頃から情報交換をしながら学生の就活をフォロー。両者のきめ細かなサポートによって、学生が希望する将来の夢をかなえられるよう寄り添っています。
職業選択や就活の予行練習として多くの学生が参加する、「インターンシップ(※)」。これは、就業体験を通じて、仕事や企業、業界、社会への理解を深めることができるプログラムのこと。数日間のものから1カ月以上にわたる長期のものまで実施期間は様々ですが、社会に出る前にビジネスの現場を体感できる機会として、参加する学生が年々増えています。
学生にとっては、社会人としての基礎を学んだり、仕事や業種・業界への理解を深めたり、年代や立場の異なる人々との関わりから学ぶ意欲を喚起されるなど、様々なメリットがあります。一方、企業にとっても、学生の生の声を採用戦略に活かしたり、会社の組織や業務内容を見直す機会になったり、社内の活性化につながるなど、メリットがいろいろあります。
岩手県立大学では、岩手大学・盛岡大学と連携し、企業と学生をインターンシップでマッチングするサイト「インターンシップin東北」の幹事校を務めるなど、率先して学生たちのインターンシップを奨励。受け入れ先の事業所は県内を中心に100以上あり、夏季または春季休業を利用して約5日間以上(コロナ禍では3日間以上)のインターンシップを実施しています。
「参加した学生たちには、インターンシップで学んだことをまとめた報告書を提出してもらっています。客観的に体験を振り返ることで、自己分析を深め、これから学ぶべきことなどを再確認してもらうことが狙いです」と、キャリアセンターの髙橋郁磨さん。これらの報告書は閲覧コーナーで読むことができ、先輩たちの体験を参考にする学生が多いとか。様々な職種・業界を体験し、働く意義を学ぶことで、学生たちは視野を広げ、「なりたい自分」を明確にしていきます。
※令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります。詳細は文部科学省ウェブサイトをご覧ください。
また、産学協議会ウェブサイト掲載の2021年度報告書も併せてご参照ください。
「インターンシップ in 東北」は、企業と学生が出会う場。大学と企業が協定を結び、5日間〜10日間程度の職業体験ができるインターンシップです。大学が仲介し、フォローを行っているので「安心して参加できる」と好評です。
インターンシップ in 東北のページへ
[主なインターンシップ実績企業(県内)]
●令和4年度/(福)岩手県社会福祉事業団、山人-yamado-、㈱イーアールアイ、㈱ぴーぷる、㈱菅文、盛岡市、(公財)岩手県予防医学協会、認定こども園都南幼稚園、リコージャパン㈱、インターンシップin二戸、㈱キンレイ、㈱清水建設、岩泉ホールディングス㈱、㈱二戸食品
●令和3年度/(株)プレステージ・インターナショナル岩手BPO一関ブランチ、(株)ワイズマン、(株)東北システムズ・サポート、(株)小友木材店、(株)リードコナン、(有)アイドカ、(福)悠和会 銀河の里、滝沢市役所、岩泉型インターンシップ、葛巻型インターンシップ
多くの社員に「働く意義」をヒアリング、物事に対する視点や考え方が変わりました
石津 央貴 さん[ソフトウェア情報学部2年]
具体的な仕事を考える前に、働く意義について理解したいと思い、2年生の夏休みにインターンシップに参加しました。私はソフトウェア情報学部で学んでいるのですが、将来働くであろうIT企業とは全く違う業界の人たちの考え方を知りたくて、奥州市にある(株)キンレイという製造業の会社へ。2週間の体験だったのですが、全部署の仕事を理解すると同時に、40人ほどの社員の方々に「働く意義」についてのお話を聞かせていただきました。たくさんの人たちの考え方に触れられたことで、参加する前よりも色々な視点を持てるようになったことが、一番の収穫です。一つの見方に固執するのではなく、別の角度から見方を変えることで新たな発見があったり、違う局面を開くことができる。人への向き合い方や生き方が楽になった気がします。
企業や団体と学生をマッチングするインターンシップと同様に、本学では公務員志望の学生たちのサポートにも力を入れています。安定性はもちろん、地域の人々の暮らしを支える仕事として人気を集める公務員ですが、国家総合職から地方公務員まで幅広い職種があり、試験内容も様々。特に公務員試験の場合は、早い時期から専門試験の出題分野を意識した授業の履修や、試験対策を行っていく必要があります。
[令和3年度 公務員就職実績]
【国家公務員】
国家一般職、保護観察官、国税専門官
【都道府県・市町村職員】
事務職(岩手県、宮城県、盛岡市、滝沢市、花巻市、二戸市、北上市、一関市、一戸町、矢巾町、山田町、横手市、仙台市、舟形町、河北町)、警察官(岩手県)、消防官(東京消防庁、盛岡地区広域消防組合)、福祉職(岩手県、北海道、山形県、山田町、仙台市、山形市、横浜市)、保育士(花巻市、宮古市、仙台市)、保育教諭(奥州市、白河市)、保健師(岩手県、青森県、盛岡市、大船渡市、西和賀町、山形市)、看護師・助産師(岩手県医療局)、養護教諭(岩手県教育委員会)など
早めに試験対策の計画を立て、キャリアセンターを有効に活用しよう
遠藤 春花 さん[総合政策学部4年]
様々な課題に直面し、困っている人たちを支援する仕事に就きたいと思い、公務員を志望。受ける自治体によって試験内容が異なるので、まず早めに準備を始めたいと思い、2年生の時にオンライン配信で公務員対策講座を受講しました。最終的に志望先を絞ったのは、3年生後期の時。キャリアセンターに相談して、エントリーシートの書き方から指導してもらったことが役に立ちました。また、模擬面接でも、面接での話し言葉や基本的な姿勢、受け答えについても細やかにアドバイスをもらったので、冷静に本番に臨むことができたと思います。公務員を志望するなら、早め早めに動くことが大切。志望自治体の試験体制を把握し、余裕を持って講座の受講や面接練習などの計画を立て、頼れる機関を活用していくと良いのではないでしょうか。