○公立大学法人岩手県立大学における大学発ベンチャーの育成支援に係る株式及び新株予約権の取得等の取扱規程
令和7年3月26日
規程第24号
(趣旨)
第1条 この規程は、公立大学法人岩手県立大学(以下「法人」という。)が、法人における大学発ベンチャーに対する育成及び支援に資することを目的として、法人の研究成果に係る大学発ベンチャーを対象とした収益を伴う事業の対価として株式等を取得する場合の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。
(1) 知的財産権 公立大学法人岩手県立大学職務発明規程(平成17年規程第68号)(以下「職務発明規程」という。)第2条第5号に規定する知的財産権をいう。
(2) ライセンス等 知的財産権の譲渡及び提供又は実施権の設定、実施許諾及び利用許諾をいう。
(3) 株式等 株式及び新株予約権をいう。
(4) 大学発ベンチャー 公立大学法人岩手県立大学における大学発ベンチャーの認定等に関する規程(令和7年規程第23号)第5条の規定により認定を受けた大学発ベンチャーをいう。
(5) インサイダー取引 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第166条に規定する有価証券の取引等をいう。
(6) 収益を伴う事業 地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第21条第2号に規定する業務及びこれに附帯する業務の範囲のうち、収益を目的とした次に掲げる事業をいう。
ア 知的財産権の譲渡、実施許諾及び利用許諾
イ 学術指導の提供
ウ 研究成果としての有体物の提供
エ 法人が所有又は占有する施設、設備その他の資産の貸与
オ その他理事長が特に必要と認める事業
(株式等の受入れ基準)
第3条 法人は、大学発ベンチャーが次の各号のいずれにも該当する場合、大学発ベンチャーから収益を伴う事業による対価の全部又は一部を株式等により取得することができる。
(1) 大学発ベンチャーの事業の有望性が高いと認められるとき。
(2) 現金による支払の免除又は軽減が大学発ベンチャーの成長に資すると認められるとき。
(1) 大学発ベンチャーの事業内容が公序良俗に反すると認められるとき。
(2) 大学発ベンチャーと反社会的勢力との関係が認められるとき。
(3) 理事長が法人の運営に支障があると判断したとき。
2 審査委員会に関する事項は、別に定める。
(取得の決定)
第5条 理事長は、第3条の規定による株式等の取得の可否について、審査委員会の審査結果を踏まえ、役員会議の承認を受けて決定するものとする。
(契約及び取得)
第6条 前条の規定により株式等の取得が決定した場合、法人は大学発ベンチャーと株式等の取得に関する契約を締結し、株式等を取得するものとする。
(株式等の管理)
第7条 法人が大学発ベンチャーから取得した株式等は、当該株式等を発行した大学発ベンチャー企業の株式が国内外の金融商品取引所に上場されるまでの間、研究・地域連携室が管理するものとする。
2 研究・地域連携室は、株式等を適正に管理するために管理責任者を置き、理事長が指名する理事をもって充てる。
3 大学発ベンチャーの株式が国内外の金融商品取引所に上場される事実が公表されたときは、法人が取得した株式等に係る管理を総務室に移管する。
4 総務室は、株式等を適正に管理するために管理責任者を置き、理事長が指名する理事をもって充てる。
(株式等保有の正当性確保)
第8条 管理責任者は、前条の規定に基づき株式等を管理している間、法人の財務諸表の附属明細書において、保有する株式等の名称及び保有理由を開示することにより、保有の正当性を担保しなければならない。
(新株予約権の行使)
第9条 理事長は、取得した新株予約権の行使が可能となった場合は、速やかに新株予約権を行使し、株式を取得するものとする。ただし、行使価格が売却価格を上回ると見込まれるときは、行使しないものとする。
2 前項の場合のほか、理事長が必要と認めるときは、新株予約権を行使することができる。
3 理事長は、法人が管理する新株予約権の行使前に、新株予約権を発行する会社の吸収合併等により第三者から当該新株予約権の買取りの申出があったときは、役員会議の承認を受けて、当該新株予約権の売却を決定することができる。
4 理事長は、法人が管理する新株予約権について、行使期間の満了までに株式公開等が見込めない場合は、役員会議の承認を受けて、新株予約権の売却等を行うものとする。
(株主としての権利行使)
第10条 理事長は、第5条の規定により取得した株式等に基づき大学発ベンチャーから経済的利益を受けることができる権利について、役員会議の承認を受けて、行使することができる。
2 理事長は、第5条の規定により取得した株式等に基づき大学発ベンチャーの経営に参加し、又は業務執行の監督・是正を行うことができる権利について、原則として行使しないものとする。ただし、議決権を行使しないことが当該ベンチャーの経営に著しい影響を与える可能性があると考えられる場合においては、この限りでない。
(株式の売却等)
第11条 株式を売却する場合は、原則として、換金可能な状態になった時点で売却するものとする。ただし、金融商品取引法その他関係法令を遵守し、適切に売却しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、次に該当する場合、理事長は、役員会議の承認を受けて、当該株式の保有を決定することができる。
(1) 換金可能な状態になった時点で、収益を伴う事業の対価に見合わないと判断した場合
(2) 一斉かつ大量に売却することにより、価値の急激な下落を招くおそれがある場合
3 第1項の規定により株式を売却するときは、インサイダー取引を防止するため、有価証券処分信託、株式処分信託等を利用するものとする。
(インサイダー取引の防止)
第12条 理事長は、大学発ベンチャーから取得した株式等の適正な売却を行うため、法人に勤務する教職員であって、株式等の発行会社に出資、兼業、共同研究等を通じて関与するもの(以下「大学関係職員」という。)に対して、インサイダー取引の有無を確認するため、大学発ベンチャーの株式の保有状況等を個別に調査するものとする。
2 理事長は、金融商品取引法その他関係法令を遵守し、大学関係職員からの情報によって、法人が管理する株式等の売却時期を恣意的に操作してはならない。
(実施補償金)
第13条 収益を伴う事業の対価として株式等を取得した場合における知的財産権に係る発明者への実施補償金については、株式等を取得した後、当該株式等を換金して収入を得たときに限り、職務発明規程第11条の規定を準用して支払う。
(事務)
第14条 この規程に関する事務は、研究・地域連携室において処理する。ただし、株式等の管理が総務室に移管された場合、株式等の管理に関する事務は、総務室において処理する。
(雑則)
第15条 この規程に定めるもののほか、大学発ベンチャーの育成支援に係る株式の取得等の取扱いに関し必要な事項は、別に定める。
附則
この規程は、令和7年4月1日から施行する。