○公立大学法人岩手県立大学動物実験規程

平成19年11月8日

規程第33号

(目的)

第1条 この規程は、公立大学法人岩手県立大学(以下「法人」という。)及び法人が設置する岩手県立大学、岩手県立大学盛岡短期大学部及び岩手県立大学宮古短期大学部(以下「本学という。」における動物実験等を適正に行うため、必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 動物実験等 実験動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。

(2) 飼養保管施設 実験動物を恒常的に飼養若しくは保管又は動物実験等を行う施設・設備をいう。

(3) 実験室 実験動物に実験操作(48時間以内の一時的保管を含む。)を行う動物実験室をいう。

(4) 施設等 飼養保管施設及び実験室をいう。

(5) 実験動物 動物実験等の利用に供するため、施設等で飼養又は保管している哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物(施設等に導入するための輸送中のものを含む。)をいう。

(6) 動物実験計画 動物実験等の実施に関する計画をいう。

(7) 動物実験実施者 動物実験等を実施する者をいう。

(8) 動物実験責任者 動物実験実施者のうち、動物実験等の実施に関する業務を統括する者をいう。

(9) 管理者 実験動物及び施設等を管理する者をいう。

(10) 実験動物管理者 管理者を補佐し、実験動物に関する知識及び経験を有する実験動物の管理を担当する者をいう。

(11) 飼養者 実験動物管理者又は動物実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。

(12) 管理者等 学長、管理者、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者をいう。

(13) 指針等 動物実験等に関して行政機関の定める基本指針及びガイドラインをいう。

(基本原則)

第3条 動物実験等については、「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(平成18年環境省告示第88号。以下「飼養保管基準」という。)、「動物の処分方法に関する指針」(平成7年総理府告示第40号)及び文部科学省が策定した「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成18年文部科学省告示第71号)(以下「基本指針」という。)並びにこの基本指針を踏まえて作成した日本学術会議の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(平成18年6月1日付。以下「ガイドライン」という。)、その他の法令等に定めがあるもののほか、本学関係規程の定めるところによるものとする。

2 動物実験等の実施にあたっては、法及び飼養保管基準に則し、動物実験等の原則である代替法の利用(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう。)、使用数の削減(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により実験動物を適切に利用することに配慮することをいう。)及び苦痛の軽減(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。)の3R(Replacement、Reduction、Refinement)に基づき、適正に実施しなければならない。

(適用範囲)

第4条 この規程は、本学において実施される哺乳類、鳥類及び爬虫類の生体を用いる全ての動物実験等に適用される。

2 動物実験責任者は、動物実験等の実施を本学以外の機関に委託等する場合、委託先においても基本指針又は他省庁の定める動物実験等に関する基本指針に基づき、動物実験等が実施されることを確認しなければならない。

(動物実験計画の審査)

第5条 動物実験計画の審査等は、公立大学法人岩手県立大学研究倫理審査規程(平成19年規程第32号)により設置される公立大学法人岩手県立大学研究倫理審査委員会が行う。

(動物実験計画の立案)

第6条 動物実験責任者は、動物実験等により取得されるデータの信頼性を確保する観点から、次に掲げる事項を踏まえて動物実験計画を立案するものとする。

(1) 研究の目的、意義及び必要性

(2) 代替法を考慮して、実験動物を適切に利用すること。

(3) 実験動物の使用数削減のため、動物実験等の目的に適した実験動物種の選定、動物実験成績の精度と再現性を左右する実験動物の数、遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件を考慮すること。

(4) 苦痛の軽減により動物実験等を適切に行うこと。

(5) 苦痛度の高い動物実験等、例えば、致死的な毒性試験、感染実験、放射線照射実験等を行う場合は、動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための実験を打ち切るタイミング)の設定を検討すること。

(実験操作)

第7条 動物実験実施者は、動物実験等の実施にあたっては、法、飼養保管基準、指針等に即するとともに、特に次の事項を遵守するものとする。

(1) 適切に維持管理された施設等において実験等を行うこと。

(2) 動物実験計画書に記載された事項及び次に掲げる事項

 適切な麻酔薬、鎮痛薬等の利用

 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮

 適切な術後管理

 適切な安楽死の選択

 死体の適切な処置

(3) 物理的、化学的に危険な材料、病原体、遺伝子組換え動物等を用いる実験など安全管理に注意を払うべき実験については、関係法令等及び本学の関連する規程等に従うこと。

(4) 物理的、化学的に危険な材料又は病原体等を扱う動物実験等について、安全のための適切な施設や設備を確保すること。

(5) 実験実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めること。

(6) 浸襲性の高い大規模な存命手術にあたっては、経験等を有する者の指導下で行うこと。

(飼養保管施設)

第8条 管理者は、飼養保管施設を設置(変更を含む。)する場合は、飼養保管施設設置承認申請書(様式第1号)を提出し、所属する大学の学長(以下「学長」という。)の承認を得なければならない。

2 学長は、申請された飼養保管施設を調査のうえ、承認又は非承認を決定する。

3 管理者は、学長の承認を得た飼養保管施設でなければ、当該飼養保管施設での飼養若しくは保管又は動物実験等を行うことができない。

(飼養保管施設の要件)

第9条 飼養保管施設は、次に掲げる要件を満たす必要があるものとする。

(1) 適切な温度、湿度、換気、明るさ等を保つことができる構造等とすること。

(2) 動物種や飼養保管数等に応じた飼養設備を有すること。

(3) 床や内壁等が清掃、消毒等の容易な構造で、器材の洗浄や消毒等を行う衛生設備を有すること。

(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。

(5) 臭気、騒音、廃棄物等による周辺への悪環境を防止する措置がとられていること。

(6) 実験動物管理者が置かれていること。

(実験室)

第10条 管理者は、飼養保管施設以外において、実験室を設置(変更を含む。)する場合は、実験室設置承認申請書(様式第2号)を提出し、学長の承認を得なければならない。

2 学長は、申請された実験室を調査のうえ、承認又は非承認を決定する。

3 管理者は、学長の承認を得た実験室でなければ、当該実験室での動物実験等(48時間以内の一時的保管を含む。)を行うことができない。

(実験室の要件)

第11条 実験室は、次に掲げる要件を満たす必要があるものとする。

(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有し、実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること。

(2) 排泄物や血液等による汚染に対して清掃や消毒が容易な構造であること。

(3) 常に清潔な状態を保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪環境を防止する措置がとられていること。

(施設等の維持管理と改善)

第12条 管理者は、実験動物の適正な管理並びに動物実験等の遂行に必要な施設等の維持管理及び改善に努めなければならない。

(施設等の廃止)

第13条 管理者は、施設等を廃止する場合は、施設等廃止届(様式第3号)を学長に届け出るものとする。

(マニュアルの作成と周知)

第14条 管理者及び実験動物管理者は、飼養保管のマニュアルを定め、動物実験実施者及び飼養者に周知するものとする。

(実験動物の健康及び安全の保持)

第15条 実験動物管理者、実験動物実施者及び飼養者(以下「実験動物管理者等」という。)は、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の保持に努めるものとする。

(実験動物の導入)

第16条 管理者は、実験動物の導入にあたっては、関連法令や指針等に基づき適正に管理されている機関から導入するものとする。

2 実験動物管理者は、実験動物の導入にあたっては、適切な検疫、隔離飼育等を行うものとする。

3 実験動物管理者は、実験動物の飼養環境への順化、順応を図るための必要な措置を講じるものとする。

(給餌、給水)

第17条 実験動物管理者等は、実験動物の生理、生態、習性等に応じて適切に給餌、給水を行うものとする。

(健康管理)

第18条 実験動物管理者等は、実験目的以外の傷害や疾病を予防するため、実験動物に必要な健康管理を行うものとする。

2 実験動物管理者等は、実験目的以外の傷害や疾病にかかった場合、実験動物に適切な治療等を行うものとする。

(異種又は複数動物の飼育)

第19条 実験動物管理者等は、異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養、保管する場合、その組み合わせを考慮した収容を行うものとする。

(記録の保存及び報告)

第20条 管理者は、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備、保存するものとする。

2 管理者は、年度ごとに飼養保管した実験動物の種類と数等について、学長に報告するものとする。

(譲渡等の際の情報提供)

第21条 管理者は、実験動物の譲渡にあたっては、その特性、飼養保管の方法、感染性疾病等に関する情報を提供しなければならない。

(輸送)

第22条 管理者は、実験動物の輸送にあたっては、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保、人への危害防止に努めるものとする。

(危害防止)

第23条 管理者は、逸走した実験動物の捕獲の方法等をあらかじめ定めるものとする。

2 管理者は、人に危害を加える等の恐れのある実験動物が施設等以外に逸走した場合には、速やかに関係機関に連絡するものとする。

3 管理者は、実験動物管理者等が、実験動物由来の感染症及び実験動物による咬傷等に対して、予防及び発生時の必要な措置を講じるものとする。

4 管理者は、毒蛇等の有毒動物の飼養又は保管をする場合は、人への危害の発生の防止のため、飼養保管基準に基づき必要な事項を別に定めるものとする。

5 管理者は、実験動物の飼養や動物実験等の実施に関係のない者が実験動物等に接触しないよう、必要な措置を講じるものとする。

(緊急時の対応)

第24条 管理者は、地震、火災等の緊急時に執るべき措置の計画をあらかじめ作成し、関係者に周知するものとする。

2 管理者は、緊急事態発生時において、実験動物の保護、実験動物の逸走による危害防止に努めるものとする。

(教育訓練)

第25条 実験動物管理者等は、次に掲げる事項に関する教育訓練を受けるものとする。

(1) 関係法令、指針等及び本学の関連規程等

(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項

(3) 実験動物の飼養保管に関する基本的事項

(4) 安全確保、安全管理に関する事項

(5) その他、適切な動物実験等の実施に関する事項

2 実験動物管理者等は、教育訓練の実施日、教育内容、講師及び受講者名を記録し、保存するものとする。

(情報公開)

第26条 本学における動物実験等に関する情報(動物実験等に関する規程、実験動物の飼養保管状況等)については、毎年1回程度公表するものとする。

(準用)

第27条 実験動物以外の動物を使用する動物実験等については、飼養保管基準の趣旨に沿って行うよう努めるものとする。

(適用除外)

第28条 畜産に関する飼養管理の教育若しくは試験研究又は畜産に関する育種改良を目的とした実験動物(一般に産業用家畜とみなされる動物種に限る。)の飼養又は保管、及び生態の観察を行うことを目的とした実験動物の飼養又は保管については、本規程を適用しない。

(補則)

第29条 この規程に定めるもののほか、この規程の実施に関し必要な事項は別に定める。

この規程は、平成19年11月8日から施行する。

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公立大学法人岩手県立大学動物実験規程

平成19年11月8日 規程第33号

(平成19年11月8日施行)