令和7年度 地域協働研究(ステージⅠ育成型)

小規模地域コミュニティ存続における小学校の存在意義に関する事例研究

研究番号 研究代表者 所属 氏名

R07-N-03

高等教育推進センター 准教授 山沢智樹
共同研究者(提案団体名) 他の構成メンバー 所属 氏名
新しい小学校をつくる会 総合政策学部
新しい小学校をつくる会
准教授
代表者
役重真喜子
昆野世宙
研究区分一般課題 研究分野地域社会
SDGs
  • 4:質の高い教育をみんなに
  • 11:住み続けられるまちづくりを
研究フィールド 北上市 研究協力者

 地域コミュニティの存続を考える際には、当該地域に小学校や中学校、保育所等の 教育や子育てに関する環境整備が欠かせないことは、周知の通りである。しかし、学 校等の配置については、当該学校に在籍する子どもやその保護者等が望む教育のあり 方についても当然、大いに考慮される必要がある。またそうした多様かつ複雑な事情 のもとで、学校の統廃合を含む再編に至ったとしても、それまでに存在した学校にお ける教育活動やその学校も関わった地域活動の意義や価値については否定されるも のでなければ、新設校と優劣比べられるものでもない。

 北上市内口内地域の旧北上市立口内小学校は 2022 年度を以て、近隣の 3 小学校(立 花小学校、黒岩小学校、照岡小学校)と統合され、2023 年 4 月より東桜小学校とな っている。口内小学校は、1872 年に学制が敷かれた直後の 1873 年に開設されて以降、 150 年間に渡り、地域の学校として存続してきた。地域の歴史を記録したり、紐解い たりするうえでも、時代が移ろうなかにおける、口内小学校の教育活動や学校も関わ った地域活動の展開は、重要な柱の一つとなり得る。そうした学校の様子について口 内小学校閉校時には、記念誌『かぐわしの里 口内 口内小学校閉校記念誌』として まとめられている。こうした地域の学校の記録は、地域の財産であるとともに、今後 の地域づくりにおいても貴重な指針となり得るものである。

 しかし、その編纂の目的や時間的な制約故に、資料としての限界性も指摘せざるを 得ない。そこで本研究においては改めて、刊行されている閉校記念誌を手がかりとし て、それを地域の中で読み合い、口内小学校に関する記憶やエピソードを語り合い、 さらに、地域在住やそれ以外の卒業生や関係者等による新たな証言等により、地域の 小学校としての口内小学校に関連する地域の記録を膨らましていくことを試みる。

 そうすることで、特定の学校の存否や感情的な側面にとどまらない、居住実感に基 づいた、地域に学校が存在する意義と地域の学校の役割について再確認していく。

 また、地域コミュニティ自らが、住民同士の懇談や交流を通じて、地域に関する記 録をまとめていく活動に取り組むことによる、地域コミュニティの形成や変化、地域 の伝統、歴史の継承についても検討したい。