平成19年度地域貢献の状況

課題研究推進〜IPUの特色を創出

地域貢献を目的とした本学の学術研究機能の強化を図るための、学内の研究費である学術研究費制度の運営、5大プロジェクト研究の推進、戦略的地域再生機構の設置、科学研究費補助金申請支援、研究倫理に係る規定整備等を行いました。

5大プロジェクト研究の推進

平成19年度は3年間の研究計画の最終年度に当り、プロジェクトの目標に向けて各取組みを行いました。

1 テラヘルツ応用研究プロジェクト

新たな専任研究者を採用した研究体制強化の結果、テラヘルツ分光測定方法を確立、特許を2件出願するとともに2件の論文発表、3件の学会発表等を行いました。

2 少子高齢化研究プロジェクト

遠野市をフィールドとして「子育て支援」「健康増進支援」「エンドオブライフ支援」「介護予防」「高齢者見守り」などのシステム開発を行い、その運用および評価を行いました。

3 環境研究プロジェクト

奥州市と共に、協働型社会に関するシンポジウムを開催しました。環境というキーワードに沿い、北上川水域をモデルとした生態系調査と土壌水質汚染に関する調査を重点的に実施しました。

4 地域専門職高度化プロジェクト

「遺伝看護学」や「福祉職等ヒューマンサービス職」に関する遠隔教材の開発と、遠隔講義や実験を実施。組込みソフト技術者のためのe-ラーニング教材の充実を図りました。また、これらのシステム運用等を担う遠隔教育支援システム推進室を設置しました。

Pick UP コラム 〈4〉 専門分野を超えた共同研究 「地域専門職高度化プロジェクト」

「地域専門職高度化プロジェクト」の取組みの一つに社会福祉学部とソフトウェア情報学部が開発した360°映像通信システムがあります。専門職のグループワーク等において、岩手の広い県土の中、遠隔地同士でもより高度な専門教育や自然なコミュニケーションの機会を提供する試みが始まっており、専門職等の人材育成の促進が期待されています。

遠隔地同士のグループワークが可能に

5 共創メディア研究プロジェクト

IPUコミュニティFM放送局開設準備委員会を開催、「岩手県立大学を中心としたコミュニティ放送設立計画」を策定しました。また、NPO法人によるコミュニティFM放送局設立の事業計画をまとめ、IPUFM設立推進委員会を立ち上げ実験的な放送を実施しました。

戦略的地域再生機構(プロジェクト研究所)

平成19年度に新たに3研究所を設置、8研究所となりました。また、客員教授などの外部研究員22名を拡充しました。

1 テラヘルツ応用研究所

新たな専任研究者の採用により研究体制を強化、テラヘルツ分光測定方法を確立し特許を2件出願しました。このほか、学術論文2件、国際学会発表3件、学会講演1件の発表を行いました。また、テラヘルツ応用研究会を3回開催、研究交流を行いました。

2 組込技術研究所

民間企業と共同で、組込みソフトの検証に関する研究を実施。そのほか組込みソフトの教育推進に関する取組みおよび、県内の組み込み系企業の技術相談への対応、県内の企業や研究者等による組込み技術研究会開催による情報交流等を行いました。外部研究資金に関しては、民間企業(2社)との共同研究計6,640千円、いわて産業振興センターからの受託事業6,568千円、計13,208千円を獲得しました。

Pick UP コラム 〈5〉 「組込み技術」と人材育成

カーナビやデジカメ、携帯電話などに使われる、特定の処理に特化したコンピュータを「組込みシステム」と言います。現在多くの家電などに搭載され、今後一層の技術開発や、技術者の育成が求められている分野です。岩手県立大学では研究開発、e-ラーニングを利用した講座、社会人教育を通して地域の産業に貢献する取組みを行っています。

ETロボコン北海道・東北地区大会

3 ソフトウェア戦略研究所

「ユーザオリエンテッドな開発方法論の研究」、「メンテナンスフリーを目指したフレキシブル(アジャスタブル)ソフトウェア開発方法の研究」、「PPMオーダのバグフリー・ソフトウェア開発技術の研究」に取り組みました。また、ARISESミーティング in ローマを開催、研究討議を行いました。

4 地域防災情報研究所

「JGN2を利用した大規模分散防災災害情報ネットワークの開発」、「気球ワイアレスネットワークの研究開発」、「防災・災害情報ネットワーク上における音声および映像転送のためのリアルタイム通信法の実現」等の研究に取り組みました。外部研究資金に関しては、民間企業と受託研究1,050千円、科研費7,650千円、JSTシーズ発掘試験1,989千円、計10,689千円を獲得しました。

5 先端情報伝達研究所

「赤外線瞬時通信と配信システム」、「赤外線と無線電波のハイブリッド通信システム」、「赤外線警備システム」、「新型見守りシステム」などの研究を行いました。外部研究資金に関しては、民間企業(2社)との共同研究計5,000千円を獲得しました。

6 産業メディア研究所

新しい放送メディア・コンテンツの調査のため、県内の工場の特殊技術の調査ならびに国外の工場の状況調査を行いました。また、メディア・コンテンツの収集と保存のため、県内製造工場の技術伝承のためのビデオ素材等を収集・保存しました。

7 先端可視化研究所

人工関節適合シミュレーションの研究開発を行い、このシミュレーション機能を含めた人工関節術前計画システムを開発中です。また、3次元画像可視化システムソフトを開発、製品化を行い販売しています。外部研究資金に関しては、JST大学発ベンチャー創出推進事業で受託研究41,184千円を獲得しました。

8 地域づくり研究所

平成20年2月、地自体等との連携により政策担当職員の能力向上と、具体的な政策立案を支援する目的で設置されました。主な活動内容は「地域づくりに関する調査、研究、提言(シンクタンク機能)」、「自治体、地域づくり関係者の政策形成能力、問題解決能力向上支援(教育機能)」等。平成20年4月、研究所内部に「盛岡市まちづくり研究所」を設置、盛岡市から共同研究員2名を受入れ、盛岡市の市政課題及び新たな政策の研究に取り組んでいます。

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