2026年3月発行
岩手県立大学・広報誌[アーチ] vol.87
目次
特集学生サポートサロン
誰もが学びやすい大学を目指して
学生サポートサロン
学生サポートサロンでは、心理相談専門員(カウンセラー)、学生支援コーディネーター(キャンパスソーシャルワーカー)、障がい学生支援スタッフ(ケアワーカー)が、学生一人ひとりの悩みや課題に寄り添い、相談対応を行うほか、休憩・居場所スペースを提供しています。
今回の特集では、何ができる場所なのか、どんな人たちが対応してくれるのか、役割や雰囲気について紹介します。
学生サポートサロンの基本情報
- 【場所】
- メディアセンターB棟2階(地上階)
- 【開室】
- 平日9時~17時
17時以降をご希望の場合は、個別にご連絡ください。
(土曜日・日曜日・祝日はお休みになります。)
いつでも安心できる場所
大学生活は、様々な出来事を自分で考えたり、決めたりする機会が増えます。ある意味で自由と言えますが、同時に自律性が求められ、責任も出てきます。
単位修得や実習に取り組みながら、一人暮らしやアルバイトなど自分の生活もマネジメントしていかなければなりません。
時には立ち止まらざるを得ないことや、自分の力だけでは解決ができないと思うこともきっとあるはずです。
そんな時は学生サポートサロンに来てください。スタッフが学生の様々な困りごとや悩みを丁寧に聞き、一緒に解決策を考えます。
学生の大学生活がより実りあるものとなるよう応援し、支援していく存在が学生サポートサロンです。
高嶋裕一学生サポートセンター長は「時には落ち込み、混乱し、健康を損なった状態になるかもしれません。それが肉体的な健康であれ、精神的な健康であれ、学内に避難所となる場所があることは、学生の大きな安心につながると考えています。サロンという場を通じて、そうした安心の雰囲気を学内に広げていきたいです。」と呼び掛けます。
大学や学生に関しての悩みや相談を抱えている保護者もいるはずです。学生サポートサロンは、学生本人だけでなく、保護者や教職員からの相談にも対応します。
サロンでは、専門職である心理相談専門員2人、学生支援コーディネーター1人、障がい学生支援スタッフ1人が学生の様々な相談や支援に対応します。このほかに、教員の相談員もいます。
周囲を気にせず相談できる個室があり、相談内容の秘密も守られます。相談する場所と考えると少し勇気がいるかもしれませんが、あくまでもここは大学の中にあるあなたの居場所の一つです。具体的なお悩みごとではなくても、まずは気軽に話してみませんか。
サロンの役割
- 様々な悩みのある学生に対する心理相談(カウンセリング)
- 障がいなどのある学生に対する合理的配慮に関する相談支援(特別支援)
- 生活に困りごとのある学生に対する相談支援(キャンパス・ソーシャルワーク)
心理相談専門員
学生の心の中にあるいろいろな思いを包括的に聞くことが主な業務です。
具体的な悩みに至る前の段階でも話すことで一歩前に進めることもあります。思いや気持ちを一緒に整理したり、解決に向けて共に考えるサポートを行います。
学生支援コーディネーター
主に特別支援とキャンパス・ソーシャルワークを担当します。
金銭や対人関係など学内外の困りごとを聞き、要因を共に考え、取り除くために学内はもちろん、公的な支援制度や外部の相談機関への紹介などを行います。
障がい学生支援スタッフ
障がいのある学生の学修準備や移動などの支援、コミュニケーションの補助を必要とする学生への情報保障支援など、学生一人では困難な部分の支援を行います。
スタッフ紹介

高橋正之さん(学生支援コーディネーター)
やらなければいけないことに押しつぶされてなかなか自分だけで解決できない状況もあります。高等教育機関で学び資格を持って社会に出ていってもらうための様々なお手伝いをします。

安藤文哉さん(心理相談専門員)
相談に来られた方が、安心して、安全感を感じながらお話ができる場を大切にしています。一人ひとりにフィットした関わりを共に探していきながら、その人らしく生きていけるようなサポートを心がけています。

梅木知也さん(障がい学生支援スタッフ)
障がいのある学生が、安心して学修参加できる環境を整えることが仕事です。前例ができることで、学びを希望する障がいのある人の人生の選択の幅が広がります。

土橋由美子さん(心理相談専門員)
心が動いたり揺らいだら、サロンに話をしに来てください。皆さんのお話を大切に聴かせていただき、一緒に考えることで、良き方向に向かう糸口を見つけていけるよう精一杯サポートいたします。
相談だけじゃない、
こんな使い方もできる
学生サポートサロンにある自習ブースや休憩スペースは、静かにリラックスして過ごせるように、大人数での利用やほかの利用者に迷惑がかかる行為をしなければ、どなたでも利用できます。
レイアウトの見直しなど、利用者が少しでも快適になるような取り組みを常に進めています。居心地の良さが、相談利用のない学生も含めた一定の利用者数と満足度の高さにつながっています。
学生サポートサロンの
利用満足度(2024年度)
学生サポートサロン【滝沢キャンパス】
- 職員の対応97.4%
- 設備・環境98.4%
学生相談室・保健室【宮古キャンパス】
- 保健室の設備・環境100%
- 学生相談室の対応100%
- 学生相談室の設備・環境100%
利用者の声

Aさん(ソフトウェア情報学部3年)
利用のきっかけは、発達障がい(ADHD)で聴覚過敏の症状があり、講義中にイヤーマフ装着の配慮申請をするためでした。
現在は、課題が多くて疲れて休憩したいとき、食事の場、テスト前で集中したいときに利用しています。最初は少し勇気がいりましたが、いざ駆け込むと親身になって相談にのってくれました。サロンの皆さんは多角的なアドバイスや心強いサポートをしてくれるので、不安が安心に変わりました。
まずは安心して駆け込んでみてください!

坂井結さん(総合政策学部2年)
入学前に聴覚障がいに関する配慮について相談に行き、学生支援室の存在を知りました。大学生活への不安が少し和らいだのを覚えています。いろいろと動いてくださったことも入学の決め手になりました。
現在は、ロジャーという補聴援助システムを授業で先生方のマイクに接続してもらう対応や先生方が話した内容を文章化してもらうノートテイクも希望すれば対応していただけます。
専門の方々が対応してくれる安心感や聴覚障がいへの理解があり、学生の立場に歩み寄ってくれているので、心の支えにもなっています。
交流や多様性の理解、様々な場を提供
学生サポートサロンでは、対話や心理教育を取り入れながら、仲間づくりやコミュニケーションスキルの向上、良好な対人関係づくりを支援する「グループ・プログラム」を実施しています。
また、多様な価値観を尊重することを掲げた岩手県立大学ダイバーシティ&インクルージョン基本方針に則り、多様な性のあり方への理解を深めることを目的とした全学セミナーも開催しています。
学内の掲示板にも企画のチラシを貼っているので、気軽に参加してみてください。
宮古短期大学部
学生相談室
学生相談室では気軽に相談できる場所と思ってもらえるように、「学生なんでも相談」の名称で火曜日と金曜日に相談日を設けています。
臨床心理士の河野暁子准教授が相談に対応。相談は専用メールアドレスのほか、河野准教授の研究室での予約も可能です。事前予約が原則ですが、相談の予約が入っていない場合には、当日でも予約なしで相談に対応します。毎月の相談日は、ウェブと学内の掲示板で確認することができます。
カウンセリングのほか、相談内容に応じて、滝沢キャンパスの学生サポートサロン、宮古短期大学部の事務局、大学と提携する学外のソーシャルワーカーなど、様々な関係機関につなぐこともしています。
保健室
保健室では、けがをした際の応急処置、体調不良や健康診断に関することなど、心と身体の健康に関する相談に応じています。
臨床心理士河野暁子准教授
私が教員も兼ねているので、学修や学校生活、進路などで学生が抱える悩みについて、より理解しやすいかと思います。そういう面からも困った学生が相談しやすい部分があると思います。相談しながら主体的に自分を振り返り、変化、成長していく学生の姿を、いつも見させていただいています。ちょっとしたことでも、まずはなんでも相談してほしいです。
CAMPUS STYLE PICKS 日々を彩るアイテム特集
服装・バッグ・メイク・アクセサリーなどなど、大学生になったらどうしよう…。
説明会や模擬講義では分からない大学生活のアレコレをCAが飾らずにリアルで紹介します!
これを見たら、大学生活のイメージが膨らむこと間違いなし!
CAとは
県立大学の大学広報を担う学生たちがキャンパス・アテンダント(通称CA)です。
01今日のコーデを決める!
バッグの選び方
大学生になったらどんなバッグで通学すればいいの!?
授業の数によってバッグの大きさを変えたり、気分によって変えたりと高校生までのときよりも自由に楽しむことができます。
そんな大学生のバッグスタイルを紹介します!
リュックでも、手持ちでも、肩掛けでも。
あなたはどんなコーデに、どのバッグを合わせる?
あなただけのバッグスタイルを見つけて
02これがリアル!
バッグの中身
授業に必要な筆記用具やノートPCは県大生の必須アイテム。シンプルにまとめるもよし、推しキャラクターの小物を取り入れてモチベを上げている人もいます!
03私の最推しコスメ
オープンキャンパスや模擬講義では決して教えてもらえない大学生のコスメ事情を紹介!大学生活ではもっともっとおしゃれも楽しみたい!
04こだわり小物で自分らしく
アクセサリーやヘッドホンなど自分自身のモチベーションを上げ、自分らしさを表現してくれる小物を紹介!
学びの現場から
岩手県立大学では、深い知性と豊かな感性を備え、高度な専門性を身につけるため、特色ある授業に取り組んでいます。
今回は総合政策学部の市民協働論、宮古短期大学部の総合三陸学に取り組む学生の学びの声を紹介します。
総合政策学部 市民協働論
理論と実践事例で市民協働を学ぶ
役重 眞喜子准教授
公共的な社会課題を解決するのは行政だけではありません。地域コミュニティやNPO、民間企業、そして私たち市民一人ひとりがその主役です。この授業では、官民連携や多文化共生などのキーワードを取り上げ、基礎的な理論を学びつつ現場の実践事例をリアルタイムで紹介します。協働の領域では、実践は理論の先を走っています。まさに「事件は現場で起きている!」のです。
行政と住民の関係の中で、行政が一方的に活動するのではなく、どのように住民の声を拾っていくか、そこにまちづくりや地域によっての特色が出ていると感じました。理論や定義ももちろん大事ですが、この授業では日本の多くの自治体や団体の事例を基にした説明を聞くことができ、毎回新しい学びがあることが魅力です。
私は将来、地元に戻って公務員として地域の課題に取り組むことを目標にしています。公務員でも現場を知らないと政策に反映することは難しいと思うので、住民の声を聞き、それを反映していけるような公務員を目指したいです。
宮古短期大学部 総合三陸学
地質や自然から地域の文化・暮らしを学ぶ
岩手三陸学三陸創造科目群
宮古短期大学部の[総合三陸学](2年次:選択)は、「三陸ジオパーク」との連携協定によるご協力をいただき、東日本大震災の経験、多様な自然・人々の暮らし、地域資源と防災の知恵から『未来』を学ぶ実習科目です。各分野の学内外専門家からの講義と臨地実習(フィールドワーク)により実践的かつ体験的に考察を進めています。
[総合三陸学]は、基礎段階の[岩手三陸学](1年次・必修)とともに「三陸創造科目群」を構成し、その発展段階です。三陸地域の他にない利点を活用し、学科の専門:経営情報学のうちの地域産業や地域経済について、学生各々の考察を深めています。
三陸ジオパークを題材に自然や歴史、文化、産業、防災について専門家や地域の方々から直接話を聞くことができました。三陸に住み、学ぶことで地域との距離が近くなったと思います。フィールドワークでは、被災地の声、写真などの残された資料を通し、震災で何が起きたのかを自分事として考える機会となりました。復興していくまちの姿に触れ、どう伝えていくべきかという未来の視点を持つこともできました。
将来は地方銀行で働きたいと考えています。沿岸地域への融資や事業提案の際、実際の被害状況を知っておくことで実態に即したビジネスや事業の提案ができると思います。
地域貢献
若年期の乳がん・子宮頸がん検診受診率向上へ
自治体や企業と協働し啓発動画や広告作成
看護学部 尾無徹講師
岩手県立大学看護学部の尾無徹講師は、乳がん・子宮頸がん検診の受診を促進するため、久慈市と株式会社サステナと連携して学習動画とYouTube広告を作成しました。同市では子宮頸がん検診を受診できる施設が少なく、最寄りの健診センターも離れているため、自治体の実施するがん検診の取り組みの重要性が高くなっています。
尾無講師らは「子宮頸がん検診に関連する要因研究」で、同市在住の20~60代の女性を対象にアンケート調査を実施。その結果、検診日程や検診内容が分からないなどの情報不足が受診の障壁になっていました。他のがん検診の対象者にもなる40代以上と20~30代とでは明確な差があり、子宮頸がん検診は20代で最初に受ける検診という面でもハードルが高くなっていました。
動画で親しみやすく
研究結果を踏まえ、20~30代の女性向けに乳がん・子宮頸がん検診の啓発動画を制作しました。動画は、検診や申込方法を分かりやすく紹介し、受診を促す内容です。柔らかいイラストの使用や動画の長さにもこだわりました。乳幼児健診や成人式などで二次元コードを記載したチラシを配布し、動画へアクセスしてもらう仕組みにしました。
若年向けにSNS活用
従来は紙媒体を郵送して啓発していましたが、若年層の紙離れなどを考慮して周知方法を工夫。エリアや年代を限定したYouTube広告や久慈市の公式SNSなどにより、若年層が自然と情報を目にする機会を増やしました。取り組みで得た知見は、自治体の他のがん検診啓発活動や若年期からの健康を意識する風土の醸成などへの活用が期待されています。
生きた自治体での経験
尾無講師は、県立大学看護学部を卒業後、保健師として山田町に就職。社会人として働きながら、大学院看護研究科で学び、2019年4月から同大看護学部の教員を務めています。「受診率を上げることも大切ですが、ヘルスリテラシーを高め自分たちで受診するという風土を作っていくことは、まさに現場を経験してみなければ思わないことでした」と自治体時代の経験も今回の取り組みに生きたと話します。
研究を進めるにあたり、4学部で構成する県立大学の特徴を活かしました。「他の講座・学部の先生たちとの多角的なディスカッションもあり、論文としても情報発信することができました。自治体・企業・他講座・他学部など、多くの方々と連携し、地域に貢献できるのが県立大学の強みであり、今後目指す方向性だと考えています」とこの先を展望します。
国際交流
グローバルセンター
海外派遣の相談や留学生支援、学内での国際交流の機会を後押し
国際交流推進室が運営するグローバルセンターは、県立大学の国際交流の拠点として、2023年10月にオープンしました。専任スタッフとして国際交流専門員1人が常駐。学生の海外派遣(留学や研修)・国際交流に関する相談、留学生・教員からの相談、国際交流イベントの企画・運営などを行っています。
2024年度のセンター利用件数は567件で、そのうち約8割の454件が留学生による利用です。留学生の多くはソフトウェア情報学部の大学院生で、英語のみで学位取得が可能ということもあり、日本語に不慣れな学生もいます。自宅に届いた郵便物の説明をしたり、各種手続きの仕方について相談を受けて学外の機関を紹介したりすることもあります。
県立大学で2024年度に海外派遣に参加した学生は、大学主催の海外留学プログラムと他団体主催の研修を合わせて50人です。いつ海外に行くべきか、どんなプログラムがあるかなど、海外派遣を前にセンターへ情報収集に訪れる学生も多くいます。
センターでは海外に行くだけでなく、学内でも国際交流できる機会を創出しています。留学生が出身国の文化や食生活などを紹介する多文化理解講座、バスツアーやパーティーなどの交流事業があります。また、留学生の日本語支援や各種イベントの運営補助を行う日本人学生のサポーターも活躍しています。
多文化理解講座
グローバルセンターでは、留学生や海外派遣に参加した学生が、出身国や留学先を紹介する講座も開催しています。言語や歴史、食文化などのほか、大学で勉強している分野について日本と現地の違いを紹介する学生もいて、知見が広がること間違いなしです。
サークル紹介
イノベーションサークル
CARE VIEWプロジェクト
映画上映とワークショップで福祉を考える機会を創出
イノベーションサークル「CARE VIEWプロジェクト」は、福祉への理解を深めてもらうことをコンセプトに活動している団体です。主な活動は、福祉に関連する映画の上映と参加者同士で感想を言い合うワークショップの開催です。
監督や配給会社との調整も自ら行い、これまでにヤングケアラー、精神疾患と家族などをテーマにした作品を上映してきました。学生にとどまらず、実際に施設などで働く参加者もおり、上映後のワークショップは現場のリアルな話を聞く機会にもなっています。
メンバーの加納匠人さん(社会福祉学部2年)は「取り上げるのは自分ではあまり能動的には見ない映画なので学びになり、感想を共有することで多様な感じ方も知ることができます」、山本悠斗さん(同2年)は「参加者の意見から自分の考えや新しい価値観を再認識できます」と活動を振り返ります。
サークルでは福祉に関係する人だけでなく、気軽に参加してもらえる活動を目指しています。代表の浅沼大和さん(同2年)は「映画のテーマに関係なく、自分にできることや周囲の人への理解など、自らの生活に当てはめて考えてもらえる機会が増えれば」と期待します。
陸上競技部
仲間と走る楽しさを大切に自主性を重視した活動
活動日は週2回で、短距離、長距離、フィールド競技に分かれて練習しています。部員の活動目的は大会出場、健康増進、フルマラソンの完走などそれぞれ違います。そのため、決められた練習メニューを行うのではなく、自分自身の目標に合わせて自由に練習の量や質を調整できるのが魅力です。
2025年度に1年生が多数入部し、活動にも活気が出ています。定期的な活動のほか、SNSなどで連絡を取り合って授業の合間に希望者でランニングをすることもあります。近年は花巻市東和町のマラソン大会に参加するのも部の恒例になっています。景色を楽しみながら走ったり、バーベキューをしたり、部員同士の親睦を深めています。
自主性を尊重しながらもやりたいことに自由に取り組める環境を確保するため、選手登録の仕方などは経験がある上級生がしっかりとサポートする体制をとっています。部長の久保大地さん(総合政策学部3年)は「陸上は一人でもできるスポーツですが、気軽に来て一緒に走る仲間がいるともっと楽しいです。陸上競技部がそんな場所になれば」と話します。
教員紹介
歴史や文化を知ることで
農村社会の在り方を考える
盛岡短期大学部 三須田善暢教授
神奈川県横須賀市出身。東京農工大学農学部を卒業後、東北大学大学院情報科学研究科博士課程を修了。2005年度から盛岡短期大学部で勤務。
高校時代に有機農業へ関心を持ち、東京農工大学農学部に進学しました。大規模化や法人化が農業の主流となる中で、政策論だけで考えるのではなく、歴史や文化、社会を踏まえて日本の農業や農村社会の在り方を考えたいという思いから農村研究をしている東北大学大学院情報科学研究科へ進みました。
専門の農村社会学は、歴史の移り変わりなどを通じて社会学的に農業や農村について考える分野です。かつては農作業や水路の基盤整備などすべてを共同で行っていた農業ですが、今は機械化などが進み、農村としての共同性が見にくい時代になっています。一方、地域で信頼を得ないと新規就農者の土地の貸借が成り立たないなど、一定の農村機能は現在も残っています。一見すると合理的ではなく理解しがたい事象についても、「家」や「村」という要因を絡めて考察することで深く理解できることが農村社会学の魅力です。
現在は、八幡平市石神集落の旧家で行われていた名子制度と呼ばれる大家族制度について調査しています。農業や漆器業、木炭など産業の中で成り立ってきたそうした制度がどのように変化していったのか、残された古文書や地域の人の話から読み解いています。ここ数年間は岩手県の満州開拓慰霊塔の保存・管理・継承問題についての調査にも取り組んでいます。
授業や研究の一環でフィールドワークも行います。学生と共に町家の掃除をしたり、お祭りに参加をしたりすることで、地域社会への理解が深まり、見えてくるものがあります。新聞やテレビを見ているだけでは分からないことが、現地に足を運んで見聞きすることによって分かってきます。
高等教育の意義とは
データで客観的な価値示す
高等教育推進センター 呉書雅准教授
台湾・高雄市出身。中国文化大学商学部国際貿易学科を卒業後、東北大学大学院教育学研究科総合教育科学専攻博士課程を修了。福島大学特任准教授などを経て、2023年10月から高等教育推進センターで勤務。
私が10代の頃は女子の大学進学を嫌がる親も少なくなく、私の母もそうでした。私は反対を押し切って大学に進学。結果として、大学は新しい知識と出会え、人生において非常に大きな意味を持つ最高の場所でした。その世界を深く知り、より良くしたいと考えたことが、高等教育学の分野に進んだきっかけです。大学で学ぶ意義や効果をデータで示すことが、私と同じように進学に迷い、不安を感じる学生の背中を押すことにつながれば、その思いが研究の原動力になっています。今では母も私の研究を応援してくれています。
研究しているテーマの一つにデータサイエンス教育があります。本学の文理融合データサイエンス教育プログラム※はデータサイエンスを現代社会における新しい一般教養と捉え、文理を問わず、すべての学生がデータを用いて課題を分析し、解決策を提案できる力を養うために高等教育推進センターが主体となって提供しているプログラムです。
データサイエンスには、世の中の思い込みをただし、客観的なエビデンスで真実を解明する力があります。例えば、学生のデータを分析・検証することで、奨学金の受給が学生の学習活動に正の影響を与えることを明らかにすることもできます。
また、これからの時代は単に知識を覚えるのではなく、情報を評価し、それを活用して新しい価値を生み出す力が求められています。データサイエンスは論理的な思考や問題解決力を養うためのツールとして、自身の専門分野に加えた強みになります。
出産後に県立大学へ着任したこともあり、子どもと県内の様々な場所に出掛けるのが休日の過ごし方です。出身の高雄市が港町なので、水辺を見ると心が落ち着きます。キャンパス内の池の周りを子どもと散策し、四季折々の変化も楽しんでいます。
- 令和8年度から副専攻『課題解決型データサイエンス教育プログラム』がスタート
県立大学Topics
岩手県立大学のイベントや出来事、学生や教員の活動に関わるニュースなど、この1年間の情報を紹介します。
PICK UP1
令和7年度学長奨励賞授与式を実施
令和8年2月19日、研究活動、課外活動、社会活動の分野で活躍された10組に学長奨励賞が授与されました。受賞された皆様、おめでとうございます!
社会福祉学部畠山委玖重
岩手県のグローバル人材育成事業「南米と岩手を結ぶ関係人口創出事業」に参加し、ブラジルでのホームステイ等を通して、岩手県の食・文化等の発信に主体的に取り組みました。
総合政策学部漆山日奈子佐々木永遠下河原麻央
鈴木咲楽々野元和奈安田悠舜
商工総合研究所主催「第38回中小企業懸賞論文」の産業部門において、最優秀賞である「本賞」を受賞しました。
総合政策学部沼田侑希子
2025ミスさんさ踊りとして、県内外の各種行事で盛岡さんさ踊りと地域の魅力発信に取り組みました。
総合政策学部中村暖
国民スポーツ大会東北ブロック大会兼第52回東北総合スポーツ大会(スポーツクライミング競技・成年女子)にて、リード・ボルダーともトップの成績を収め、岩手県チームの優勝に貢献しました。
ソフトウェア情報学研究科藤原龍聖
情報処理学会第87回全国大会にて学生奨励賞を受賞するなど、目覚ましい活躍をしました。
ぽむっこくらぶ
病気や障がいのある子どもの親の会主催の研修会の運営するとともに、託児ボランティアに参加し、保護者への支援や子どもとの交流などを行いました。
さんさ踊り実行委員会
盛岡さんさ踊りに参加し、出場当日の全般的に最も優れた団体のみが選ばれる最優秀賞を受賞しました。
PICK UP2
「食と農をつなぐアワード2025」にて農林水産省大臣官房長賞を受賞
岩手県立大学大学院総合政策研究科の小野寺直喜さんが、農林水産省主催の第1回「食と農をつなぐアワード」において、株式会社岩手銀行と共に大臣官房長賞を受賞しました。経済学のマッチング理論で農地集約を最適化するWEBアプリ「農地コネクト」を活用し、産学官金が連携した合意形成の仕組みを研究・実践した取組みが高く評価されました。
PICK UP3
イノベCaféを開催しました
本学と滝沢市、滝沢市IPUイノベーションセンター・パーク入居企業(イノベ企業)が連携して実施している「企業学群」の取組みの一環として、本学と滝沢市の共催で交流イベント「イノベCafé」を開催しました。
今年度は福祉工学や哲学、防災をテーマに、本学教員が話題提供を行い、参加者はランチや飲み物を楽しみながら交流を深めました。
PICK UP4
みやこ秋まつり「手踊りパレード」で1位を獲得しました!
宮古短期大学部の宮古短大祭りサークルが、令和7年9月13日に開催された「みやこ秋まつり」手踊りパレードに参加しました。学生たちは息の合った力強く華やかな踊りを披露し、沿道から温かい笑顔と拍手が送られました。その成果が評価され、審査では見事第1位を獲得。地域と一体となって祭りを盛り上げた、充実した1日となりました。
PICK UP5
第10回学術講演会・県大福祉フォーラムを開催しました
社会福祉学部では、令和7年11月1日に第10回学術講演会・県大福祉フォーラムを開催しました。節目となる10回目は、「認知症 地域全体で支える『共生社会』の実現に向けて」をテーマに、基調講演とシンポジウムを実施しました。医療・福祉・地域の実践報告を通して、共生社会の実現に向けた理解を深める機会となりました。
PICK UP6
子育て応援☆クリスマスフェスタを開催しました
看護学部は、令和7年12月20日に滝沢市こども家庭センターと共催で「子育て応援☆クリスマスフェスタ」を開催しました。講演やダンス、クラフト体験、育児相談など学生も参加した多彩なプログラムを実施し、滝沢市内外から200名を超える方にご参加いただきました。大学と地域が連携し、子育て家庭に寄り添う温かな交流の場となりました。
PICK UP7
未来創造基金の報告
大学の教育研究活動をさらに充実させる財源として平成28年度に創設した「岩手県立大学未来創造基金」に、令和7年度は2月末現在で15件55万円の寄付が寄せられました。寄付をお寄せいただいた皆様に改めて感謝申し上げますとともに、岩手の未来づくりに貢献する教育研究活動をさらに広げていけるよう引き続き御支援をよろしくお願いします。
基金のお問合せ先
岩手県立大学事務局総務室(管財契約グループ)
TEL019-694-2002
FAX019-694-2001
卒業生インタビュー
卒業生情報
岩手県男女共同参画センター(認定NPO法人インクルいわて)
高橋健太さん
2021年3月社会福祉学部卒業
ありのままに生きられる社会に
大学時代の経験が現在の糧
県立大学の授業を受ける中で、人は社会や周囲の環境との相互作用の中で今を生きていることを学び、悩みや生きづらさを作っている周囲の環境を変えていくことが根本的な解決につながると強く認識しました。周囲の環境や社会のシステム全体に関与できる福祉職に関心を持つようになり、社会福祉士を取得し、現在は岩手県男女共同参画センターの運営法人に所属しています。
現在はセンターの学習事業であるオンラインセミナーの運営を担当しています。このセミナーは、性別を背景とした生きづらさを抱える当事者にとって、固定的な性別役割やジェンダー規範を客観視することで肩の荷が下り、ありのままに生きるためのヒントを見付ける機会にもなります。当事者だけではなく、周りの人の理解や適切な行動配慮がないと解決できないことも多くあります。正しい情報・知識を届け、理解を広げることで、性別に関わらず、すべての人がありのままに生きられる岩手県を作っていく力になっていることにやりがいを感じています。
大学時代は、3年次に1年間休学してオハイオ大学に留学。英語の学習だけでなく、学部生対象のジェンダー、セクシュアリティに関する科目も履修しました。帰国後も他学部の授業履修を通してジェンダーや男女共同参画の知識など、現在の仕事のベースとなる学びを得ることができました。
県立大学の国際交流サークルGWIPUに所属し、コロナ禍でもオンラインで話す機会を設けるなど、日本人学生と留学生が交流できるきっかけ作りをしました。大学では、いろいろな背景の人と関わり、多くのことを経験することができます。自分はこうだと決めつけて、選択肢の幅を狭めないことが大切です。
アンケートご協力のお願い
岩手県立大学広報誌Archへの御意見・御感想や、広報に関する皆様の御意見をお聞かせください。次のリンクからアクセスして、アンケートフォームから御回答をお願いします。