○公立大学法人岩手県立大学障がいを理由とする差別の解消の推進に関する教職員対応規程
令和7年3月31日
規程第34号
(目的)
第1条 この規程は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針に即して、公立大学法人岩手県立大学の教職員(任期の定めのある者を含む。以下「教職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めることを目的とする。
(1) 障がい者 法第2条第1号に規定する障害者、すなわち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。以下「障がい」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとし、本学における教育、研究及びその他本学が行う活動全般において、そこに参加する者全てとする。
(2) 社会的障壁 障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(障がいを理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方)
第3条 この規程において、不当な差別的取扱いとは、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、教育、研究その他本学が行う活動全般について機会の提供を拒否すること、提供に当たって場所若しくは時間帯を制限すること又は障がい者でない者に対しては付さない条件を付けることにより、障がい者の権利利益を侵害することをいう。また、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障がいを理由とする不当な差別的取扱いに該当する。なお、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要である特別な措置は、不当な差別的取扱いではない。
2 前項の正当な理由に相当するか否かについては、単に一般的又は抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、障がい者及び第三者の権利利益並びに本学の教育、研究その他本学が行う活動の目的、内容、機能の維持等の観点に鑑み、具体的な状況に応じて総合的かつ客観的に検討を行い判断するものとし、教職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際、教職員と障がい者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図るものとする。
3 この規程において、合理的配慮とは、障がい者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。
(1) 教育、研究その他本学が行う活動への影響の程度(その目的、内容及び機能を損なうか否か。)
(2) 実現可能性の程度(物理的又は技術的な制約や、人的又は体制上の制約があるか否か。)
(3) 費用又は負担の程度
(4) 本学の規模及び財政、財務状況
(障がいを理由とする差別の解消に関する推進体制)
第4条 本学における障がいを理由とする差別の解消の推進(以下「障がい者差別解消の推進」という。)に関する体制は、次のとおりとする。
(1) 最高管理責任者 学長をもって充て、障がい者差別解消の推進、そのための環境整備(施設等のバリアフリー化の促進、必要な人材の配置、障がいのある入学希望者や学内の障がいのある学生等に対する受入れ姿勢及び方針の明示、情報アクセシビリティの向上等)に関し、本学全体を統括し、総括監督責任者及び監督責任者が適切に障がい者差別解消の推進を行うようリーダーシップを発揮するとともに、最終責任を負うものとする。
(2) 統括監督責任者 教学を担当する副学長をもって充て、最高管理責任者を補佐するとともに、本学全体における障がい者差別解消の推進に関し必要な責任を有するものとする。
(3) 監督責任者 学生支援本部長をもって充て、合理的配慮の提供に関する調整、教職員に対する研修、啓発その他障がい者差別解消の推進に必要な措置を講ずるものとする。
(4) 監督者 各部局長をもって充て、監督責任者を補佐するとともに、次条に規定する責務を果たすものとする。
(監督者の責務)
第5条 監督者は、障がい者差別解消の推進のため、次の各号に掲げる事項に注意して障がい者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう教職員を監督し、かつ、障がい者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。
(1) 日常の業務を通じた指導等により、障がいを理由とする差別の解消に関し、監督する教職員の注意を喚起し、障がいを理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。
(2) 障がい者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があったときは、迅速に状況を確認すること。
(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する教職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。
2 監督者は、障がいを理由とする差別に関する問題が生じた場合には、監督責任者に報告するとともに、その指示に従い、迅速かつ適切に対処しなければならない。
(不当な差別的取扱いの禁止)
第6条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。
(合理的配慮の提供)
第7条 教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状況に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的配慮の提供をしなければならない。特に障がいのある女性に対しては、障がいに加えて女性であることも踏まえた対応をするものとする。障がいのある性的マイノリティについても、同様とする。なお、多数の障がい者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障がい者等への波及効果についても考慮した環境の整備に努めるものとする。
2 前項の意思の表明は、言語(手話を含む。)のほか、点字、筆談、身振りサイン等による合図など障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び障がいの特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障がい者の家族、介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むことに留意するとともに、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該障がい者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。
3 教職員は、前2項の合理的配慮の提供を行うに当たり、別に定める留意事項に留意するものとする。
(相談体制の整備)
第8条 障がい者及びその家族その他の関係者からの障がいを理由とする差別に関する相談窓口は、次のとおりとする。
(1) 学生支援本部
(2) 学生サポートセンター
(3) 健康サポートセンター
(4) 保健室(宮古短期大学部に限る。)
(5) 所属学部又は研究科
(紛争の防止等のための体制の整備)
第9条 障がいを理由とする差別(不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供等)に関する紛争の防止又は解決を図るための委員会等は、次のとおりとする。
(1) 合理的な配慮等を要する学生のための支援調整会議
(2) 学長が別に指定するもの
(教職員への研修・啓発)
第10条 本学は、障がい者差別解消の推進を図るため、教職員に対し、必要な研修及び啓発を実施するものとする。
(留意事項)
第11条 この規程に定めるもののほか、留意事項については、理事長が別に定める。
附則
この規程は、令和7年4月1日から施行する。