インターンシップ先の病院で、対応する学生。具体的に業務を体験できるため、仕事への理解が深まる。

様々な学問への扉を開き、学生の基礎力を育む「基盤教育」。専門分野を学びながら興味のある多様な知識を吸収することができ、4年間を通じて継続的に学べる体制を整えている。昨年度から岩手県立大学では、「英語教育」を大きく刷新。大学独自の「いわて創造教育プログラム」と合わせて、基盤教育の特徴的な取り組みをご紹介しよう。

4つの科目群の学びを通し 「知の基盤」を築いていく

 学生たちの人生を豊かにし、幅広い知識や教養が身につく基盤教育。必修として学ぶ「基礎科目」と、それぞれの興味や目的に合わせて自由に選択できる「教養科目」、その他に「保健体育」と「外国語科目」の4つの科目群で構成されている。
 大学で必要とされる基礎的能力を養う「基礎科目」は、英語・情報処理・入門演習・地域学習の4構成で、1・2年次が中心。英語では教養教育や専門教育の基盤となる英語力の習得を目指し、情報処理ではコンピュータソフトの使い方や情報倫理観の修得を。入門演習では学部教育の基礎スキルを、地域学習では地域課題の発見と解決方法を自ら考える力を身につけることができる。
 1〜4年次に学ぶ「教養科目」は、複数の学問領域に触れ、自身の興味を広げ、知識を深められる科目群。幅広い学問を学ぶことで、ものの見方や考え方、視野を広げられる「領域科目」、課題や事象について自ら考え、自分なりの答えを構築する「テーマ科目」、学外学習などで経験から学んだことを社会に役立てる「プロジェクト科目」の3構成。異なる学部の学生と一緒に学ぶため学生同士の交流が深まるとともに、専門以外の分野に触れることで学ぶ楽しさを知り、自分の志向や判断軸を形成することにもつながる。

英語のカリキュラムを一新、 少人数クラスで細やかに指導

 グローバル化が進む現代において、英語力を身につけることは、多様な文化や価値観を持った人々を理解し、自分の考えを発信するために欠かせないスキル。そのため岩手県立大学では、「読む」「聞く」「書く」「話す」をバランスよく伸ばし、総合的に使いこなせる英語力の養成を目指している。
 まず、学びの環境を整えるため、全学生にTOEICテストを実施。レベル別に3段階の少人数クラス(1クラス20名程度)に分け、きめ細やかな指導を行える体制を整えている。
 基礎力を育む「英語基礎演習」の授業では、できるだけ多くの英語・英文・文法に触れながら、基本的な読解力やリスニング力を強化。さらにeラーニング形式で自主学習できるプログラムを導入し、オンライン配信される教材で多読、多聴、語彙、文法の反復演習ができるように工夫している。
 「英語実践演習」では、基礎演習で習得した知識・技術を踏まえ、実際のコミュニケーションを想定した英会話のトレーニングを中心に指導。基礎と実践を効果的に融合した教育を行っている。さらに「応用英語」として、アメリカでの短期語学研修プログラムも開講。現地の学生と交流しながら、授業で習得した英語力に磨きをかけると同時に、異文化への理解を深めることができる。

複数の学問領域に触れ、人間性や倫理性を高められる
「教養科目」。写真は、「異文化接触と多文化共生」の授業。

フィールドワークを通して地域の現状を学び、
課題解決に取り組む力を身につける「いわて創造学習」。

英語以外に、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、 スペイン語の6言語を学ぶことができる。

保健体育は「健康科学」と「体育実技」の2科目。 スポーツを通じ、協調性やコミュニケーション力なども養う

「地域」を共通のテーマとし、 現場の課題に向き合う力を育む

 早い段階から、地域課題やその解決に向けた住民の努力に触れることは、地域に対する目を開くと同時に、学生自身の未熟さを実感させ、今後何を学んでいくべきかを考えさせる貴重な機会。そこで本学では、『いわて創造教育プログラム』を導入し、「地域」を共通テーマに学部の枠を超えて学習する様々な授業を設けている。
 1年次前期に全学部の学生が受講する「いわて創造入門」は、岩手県内の現状や地域課題などを踏まえながら、大学の特色や地域貢献の取り組みなどを理解する授業だ。昨年度は、岩手県知事や被災地で福祉職として働く卒業生の話などを聞き、今後の方向性について考える機会を設けた。
 また「いわて創造学習Ⅰ」は、県内各地に1・2年次の学生が赴き、1泊2日のフィールドワークを通して、地域について学ぶ授業。平成28年度は、住田町・西和賀町・田野畑村・遠野市の4コースを実施。地域の現状と課題に触れ、その解決方法を考察することにより、積極的な活動姿勢が身につき、学びに対する意欲が高まっていく。
 さらに「いわて創造学習Ⅱ」では、学生自らが実地学習プログラムの企画立案を行い、実際にコーディネートまで行うことが特徴。「いわて創造学習Ⅰ」を履修した上級生が、教職員やコーディネーターのサポートのもと、企画から実施まで成し遂げることで、マネジメントやコーディネートのスキルなどを体験的に習得することができる。
 このように早くから地域に向き合うことで、専門知識を学ぶ必要性を実感し、地域課題の解決に応用することを意識しながら専門科目を学ぶ姿勢が育まれるのである。

[岩手県立大学の基盤教育]

           

★基礎科目★

大学や社会で必要とされる基礎的な能力を養う科目。
 ●英語/「読む」「聞く」「書く」「話す」力を強化
  し、総合的に使いこなせる英語力を養う。
 ●情報処理/パソコンでのコンピュータソフト
  使い方や情報倫理観を修得する。
 ●入門演習/所属学部の専門分野に必要となる、
  基礎的な学びのスキルを修得する。
 ●地域学習/地域に実際に足を運び、地域課題の
  発見・解決方法を自ら考える。

★教養科目★

人間性、倫理性を高める豊かで幅広い教養を身につけられる科目。
 ●領域科目/哲学、芸術学、歴史学、物理学など、
  幅広いジャンルの知識を学べる。
 ●テーマ科目/課題や事象に対して多角的・学際的に
  アプローチする思考過程を学ぶ。
 ●プロジェクト科目/「いわて創造学習」のように
  経験から学び、その学びを社会に活かす。
  

★保健体育★

心身の健康づくりの重要性を認識させるため、「健康
科学」と「体育実技」の2科目を設置。実技では協調性
やコミュニケーション能力なども養う。

★外国語科目★

中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、
スペイン語の6言語の科目を設置し、広い視野を養う。
希望者は短期語学研修にも参加できる。

[学生からメッセージ]

下屋敷 敬祐さん
(ソフトウェア情報学部2年)

昨年「いわて創造学習Ⅰ」を履修し、遠野市で1泊2日のフィールドワークに参加しました。企画した先輩たちの意識が高く、地域の課題解決のために様々な取り組みをしていることに刺激を受け、今年度は企画学生として雫石町のプログラムづくりに取り組んでいます。高校時代は地元に無関心だったのですが、授業を通して改めて岩手を見直す機会をもらい、まだまだ知らないことがあることを実感。もっと様々な地域を回って視野を広げ、いずれはICTの技術を活用して地域課題の解決に取り組んでいければと考えています。






高橋 健太さん
(社会福祉学部2年)

もともと英語が好きなのですが、大学で学ぶ英語はリスニングやスピーキングが中心のため、授業自体が楽しいですし、会話力が身につきます。でも日本にいるだけでは実践的に英語を使う機会がありませんから、アメリカのオハイオ大学での短期語学研修に参加しました。英語も他言語も、使う対象は人。言葉を覚えることは、相手に対する思いやりであり、わかり合いたいという意思表示です。ソーシャルワークの現場も外国人が増えていますので、コミュニケーションの基本である英語を身につけることは、とても大切だと思っています。