岩手県立大学、岩手県立大学大学院、岩手県立大学盛岡短期大学部の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
また、これまで新入生の皆さんを、励まし、支え、今日のこの日を迎えられたご家族の皆さまのお喜びも大きいものと拝察し、心よりお祝い申し上げます。
そして、ご多忙中にもかかわらず、本日ご臨席くださいました達増岩手県知事、渡辺岩手県議会議長をはじめ多くのご来賓の方々に、本学を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。
さて、新入生の皆さんは、本学の創立十周年という記念すべき年に入学されました。喜びに溢れ、夢と希望をもって本学に入学してこられたことと思います。皆さんの中には、受験勉強から解放され、ほっとしている人もあるでしょう。今日から始まる本学での学生生活は、皆さんのこれからの人生のなかで、最も自由で恵まれた時間となることと思います。それと同時に皆さんの人生の方向を決める、最も貴重な時でもあります。
この貴重な学生時代に私が皆さんに、ぜひやって欲しいと望むことは、自己と正面から向き合い、自分が一生をかけてもこれをやりたいと思うほど好きなことは何か、自分には何が出来るのか、つまり、自分の適性を見出し、人生の方向を見定めることです。
皆さんがここで過ごす勉強期間は、長いように見えても、実際には、私の経験から言っても、あっという間に過ぎてしまいます。その限られた時間の中で、私が皆さんに望むことは、どの学問を学ばれるとしても、しっかりとした基本を身につけることです。本学は「実学・実践」を創立の精神に掲げていますが、基本をしっかりマスターしていなければ、本当の意味の「実学・実践」はできません。野球でいえば、まず直球を投げることをマスターすることです。最初からカーブやナックルを投げる技巧派は大成しません。基本をしっかりマスターしておけば社会に出てからも色々な応用問題に対応できますが、その逆はできません。
そしてそのしっかりとした基本の上に、より高度な専門性を積み重ねていってください。それには、教えられたことを鵜呑みにするのではなく、理解できない点があれば、どしどし質問し、先生に食い込んでいってください。それにより先生も、よりよい講義が出来るようになるのです。常に一歩踏み込み、「なぜ」と問う探究心をもつことが大切です。そこから独創的な新しい発想がうまれ、それが皆さんの個性を形作るのです。
競争の激しいグローバル化時代においては、平均的な秀才タイプの人材よりも、一つのことに深い知識と問題意識をもち、強い個性と独創性をもって人を束ね、引っ張っていくリーダーシップを発揮できる人材が求められています。私は皆さんが、個性と独創性のある、たくましい人材に成長していくことを願っていますし、皆さんは十分にその素質を持っていると信じています。 |
私は、本学の教育の基本方針は、"Think globally, act locally"(広い視野に立った地域貢献)であると考えています。
本学が目指す第一の目標は、地域貢献にあります。いまや少子高齢化は世界的規模で進行し、岩手県をはじめ日本が抱える多くの課題は、国際的に共通の課題でもあります。本学としては、とくに地域に生活する人々の様々な問題に取り組み、社会福祉、看護、環境、ITなどの分野で、高い専門性と技術を活かした解決のための提言や、専門研究の成果を示し、県民の生活や地域経済に還元することを目指していますが、現在は、どのような分野においても、国際的レベルの専門性が無ければ、本当の意味での地域貢献は出来ないと考えています。皆さんが、より広い視野に立った地域貢献を担ってくれることを望んでいます。
本学では、中国の大連交通大学、韓国の又松大学などと、提携協定を締結し、少数ではありますが、先方から留学生を受け入れております。そして、将来は、本学からも、夏休みなどを利用して、学生を留学させて交流を進めていきたいと考えております。新入生の皆さんも、中国、韓国のみならず、アジア、そして世界に目を向けて、若い世代との交流を通じ、国際的感覚を養うよう、心がけてください。
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グローバル化時代に生きる皆さんに、もう一つ申しあげたいのは、どのような厳しい競争の社会に身をおいても、人間性を失わないで欲しいということです。私が人生において大切にしている信条は、経済学の父とも言われるアルフレッド・マーシャルの言葉、"cool head, but warm heart"(冷静な頭脳と温かい心)というものです。現代の競争社会においては、常に深い知識と情報力、コミュニケーション能力、そしてそれに基づくクールな判断力が必要とされます。私は皆さんが、本学において、それらを養って欲しい、そして、いかなる競争社会においても、信念と自信をもって生きていける人間に育って欲しいと願っています。しかし、自分だけがよければよいという自己中心的な考えでは、よい地域貢献も社会貢献も出来ないでしょう。常に温かい心をもって、よりよい社会を作るための努力をして欲しいと願っています。
私は岩手県の生んだ多くの人材の中でも、岩手県の一山村である旧沢内村の深沢村長が、勇気と信念をもって、豪雪地、無医村といった悪条件を克服し、最悪であった幼児死亡率を、1963年には死亡率ゼロとされたことに、深い感銘を受けました。本学からも深沢村長のような強い信念と行動力を持つ人材が育って欲しいと思います。
本学は2005年4月の独立法人への移行以来、多くの改革を行ってまいりました。改革にはいろいろな困難が伴いますが、それらを乗り越え、成果が次第に育ちつつあると考えています。一例を挙げれば、本学のソフトウェア情報学部は、情報処理学会において、平成15年以降毎年続けて、全国の大学の中で最も多くの最優秀学生賞の受賞者を出しており、今年も7名の受賞者を出しました。これは本学の誇るべき伝統として今後も是非、維持していきたいと考えています。他の学部も、それぞれの分野における特徴を生かし、数多くの地域貢献に努めてまいりました。本学はこれらの実績の上に、次の新しい10年に向けて、より高いレベルの地域貢献と、より存在感のある大学を目指して、さらなる改革に取り組んでおります。
また2006年4月に設立された共通教育センターを強化し、近年学力低下が憂慮されている、日本語読解力や文章力の強化、岩手県の誇る詩人・作家である宮沢賢治の研究、実践的英語、中国語、韓国語講座の強化に努める所存です。さらに、中国、韓国を中心とするアジア研究を推進することが必要だと考えています。中でも北東アジア近隣諸国の大学との交流は、岩手県のみならず東北地方の発展につながるものであり、特に重要であると考えております。 |
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また創立10周年記念事業として、来る6月19日には記念式典が行われるのをはじめ、本年5月には岩手県立大学国際ソフトウェアシンポジウム、10月には環境問題、社会福祉問題を中心として、アジアの地域開発に関する国際シンポジウムと、2つの国際シンポジウムが企画されております。これらは本学各学部の連携のもとに実施され、達増知事にもご参加いただくことになっております。皆さんも、これが皆さんの10周年記念事業であることを自覚し、積極的に参加されるよう望みます。
以上色々お話しましたが、われわれ教職員一同は、皆さんが本学において、知性と人格を磨き、有意義な学生生活を送れるよう、あらゆる支援と協力を惜しまぬつもりです。しかし主役は皆さんです。今日から始まる本学での学生生活が、真に実りあるものになるか否かは、皆さん次第です。本学を、岩手県のみならず日本のなかで、存在感のある大学に育てるのも、本学の新しい伝統を築いていくのも、皆さんです。高い理想と希望をもって「元気な岩手」をつくり、羽ばたいて下さい。大いに期待しています。
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OECDの最近の世界の教育の国際比較を待つまでもなく、日本の将来は科学技術を中心とするknowledge based society(知識を基盤とする社会)に移行していかなければなりません。日本の将来は教育にかかっているといっても過言ではないでしょう。しかし教育には時間と資金がかかります。岩手県は、国際的経験が豊かで、教育問題にも熱心な達増知事の下で、地域の発展に努めています。本学は、まだ若い大学ではありますが、県民の子弟を始めとする若者に、より良い教育の機会を与え、県民の大学として発展していくことを目指しております。本日ご来臨の皆様、岩手県民の皆様にも、本学を暖かく見守って下さいますよう、この場を借り、お願い申し上げます。
新入生の皆さん、本学は、広いキャンパス、美しい自然環境に恵まれ、教育施設は勿論のこと、プール、野球場、サッカーグラウンド、ラグビーグラウンドなどのスポーツ施設も充実しています。これは本学を設立された方々、そして岩手県民の尽力によるものです。私たちはこの幸運と厚意に感謝しなければなりません。皆さんが、勉学のみならず、スポーツやその他の活動に積極的に参加し、また、よき師、よき友を得て、真の人間関係を築き、明るく健康で楽しい学生生活を送られるよう祈念し、私の式辞といたします。
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