岩手県立大学 盛岡短期大学部

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特色GPフォーラム

テーマ「多文化共生社会において大学が果たす役割」


平成19年12月8日(土)開催
主催:岩手県立大学盛岡短期大学部
後援:岩手県・盛岡市・滝沢村・岩手県国際交流協会

昨今の在住外国人住民の増加により、「国際交流」、「国際協力」と並ぶ新たな国際文化教育の方向として、外国人住民を生活者あるいは地域住民として認識し、国籍や民族を超えた「多文化共生」の地域づくりが求められています。それを実現するために、変容しつつある社会の中で、主体的に活躍できる人材を育成することが要請されています。このような時代の要請を受けて、本学では、平成18年度の「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に採択された「自他の文化理解を柱とした国際文化教育―コミュニケーションスキルを育成しながら―」の補助事業として、「多文化共生社会において大学が果たすべき役割」をテーマとする「特色GPフォーラム」を開催しました。

概要

本フォーラムでは、「グローバル化時代の大学の役割――多文化共生社会の育成に向けて――」と題する谷口誠岩手県立大学学長の基調講演を大きな枠組みとして、多文化共生社会において大学が果たすべき役割についてパネルディスカッションを実施しました。パネルディスカッションでは、「多文化共生社会のために、大学は何ができるか?」をテーマに岩手大学国際交流センターの松岡洋子准教授、群馬大学教育学部の結城恵准教授、愛知県立大学の山本かほり准教授が、それぞれの地域の状況を踏まえた各大学の取組を紹介しました。

報告

松岡准教授は、結婚移住者や工場で働く外国人実習生、日系人労働者の多い岩手県の特色をもとに、多文化社会における大学の役割として「大学がもつ教育力、研究力を活用して、地域社会の現状と課題を分析し、民間団体との連携により、国際交流事業などをとおした意識啓発や人材育成によって多文化社会の形成を支援していくこと」を岩手大学の取組として紹介しました。

結城准教授は、群馬県をはじめとする北関東圏が南米系日系人等ニューカマー(New Comer)外国人の就労者が多い製造業の集積地となっていることを背景として、「共生マインド」をもって「多文化地域で活躍できる、高度専門的職業人(教員、行政関係者、医師、看護師、警察官、エンジニア、起業家等)の育成に取り組んでいる」群馬大学の教育プログラムを紹介しました。

山本准教授は、ブラジル人就労者が多い愛知県の現状を踏まえて、地域住民の依頼を受けて実態調査を行い、その調査結果を行政にはたらきかける愛知県立大学の地域貢献を紹介しました。この地域貢献事業の結果、外国人住民の地域活動や自治体活動が促進されて、日本人住民との共生が芽生え始めたという興味深い事例が報告されました。

討論

各パネリストが多文化共生社会に向けた大学の取組を紹介した後で、岩手県立大学社会福祉学部の細江達郎教授、宮城学院女子大学学芸学部教授のJ・F・モリス教授、韓国慶熙大学校国際教育院の酒勾康裕客員助教授と意見を交換しました。意見交換の中で、外国人住民を支援の対象ではなく、その固有の言葉と文化をもった人間とみなして日本人との共生を目指すことが強調され、「共生マインド」をもった人材の育成が大学の果たすべき役割の柱であることを確認しました。最後に「多文化共生は外国人だけの問題ではなく、障害やジェンダー、格差といった社会の問題を視点に入れて考えることも大切である」とする結城准教授の言葉でパネルディスカッションを締めくくりました。

総括

フォーラム当日には、定員200人に対して県内外の市民や学生など約130人(うち、大学関係者12人、一般約60人、学生57人)の参加がありました。このフォーラムを実施したことにより、参加者の多文化共生並びに社会各層に潜在する諸問題に関する理解を深めることができました。また、岩手県立大学の多文化共生に対する取組が十分でないとの指摘もありました。これについては県立大学全体で考えるべき課題ではありますが、本学国際文化学科では、平成20年度のカリキュラムの中に「多文化共生論」と「国際協力論」を新たに設置し、より地域に根ざした国際理解教育を実施する予定としています。その中で、特に今回強調された「共生マインド」のあり方を考えていく方向性を確認しました。

基調講演を行う谷口誠・本学学長

パネルディスカッションの模様

事前の告知(チラシ等)はこちら

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