平成27年度事業実績

中期計画の実現と、岩手県の復興に向けた取り組みを推進

 平成27年度は、第二期中期計画期間の5年度目として、中期目標の達成に向けた取り組みを進めるとともに、被災地等への復興支援も組み入れて年度計画を策定しました。本学では、地域の中核人材育成と活力創出に貢献する大学として、学生や地域の期待に応えていくため、下記の重点計画を中心として計画を推進するとともに、全学一体となって復興支援の取り組みを行いました。

平成27年度のおもな事業実績

① 目的意識や学習意欲にあふれる入学志願者の戦略的な確保

■ 志願者確保に向けた取り組みの推進

全学が一体となって、オープンキャンパスでの学部説明会や入試相談会を実施したほか、各種進学説明会への出席や高校訪問等を実施。各学部でも独自の高校訪問、学部説明会、入試説明会、出前講義などを積極的に実施し、広く情報発信を行いました。

■ 大学院の定員充足に向けた取り組みの推進

各研究科で進学相談会や入学説明会を開催したほか、高専生を対象とした体験実習を実施するなど、定員充足に向けて様々な取り組みを行いました。

■ 被災学生への経済的支援

東日本大震災津波で被災した学生に対する授業料(206名)及び入学料(19名)の減免を継続するとともに、学業奨励金「被災特別枠」による支援を実施し、被災学生11名(学部生9名、大学院生2名)に対して奨励金を交付しました。

② 体系的で一貫性のある教育プログラムの実践

■ 基盤教育改革の推進

基盤教育の充実のため、外国語科目、保健体育科目、入門演習科目及び教養科目についてカリキュラムの見直しを行い、課題を検討。履修方法や成績評価などの改善を行い、基盤教育改革を推進しました。

■ 学修成果の評価方法の確立に向けた検討

各課程における学修成果評価の統一性を高めるため、様々な取り組みを実施しました。英語科目では教育方法と評価基準の統一化に加え、TOEICを用いて評価の客観性を向上。看護学部では卒業時看護技術評価を、ソフトウェア情報学部では担当教員による評価方法等の調整を実施しました。

■ 地域を志向した教育を推進・拡充

地域を志向した教育を推進するため、副専攻「いわて創造教育プログラム」の策定と地域創造学習プログラムの正規科目化を決定。地域創造学習プログラムでは、10市町村の協力のもと、196名の学生がそれぞれの地域の課題等について学びました。

■ 海外の大学との学術・学生交流の推進

英国、オーストリア、韓国などの海外の教育研究機関との共同研究、研究交流を実施したほか、中国、スペイン、アメリカなどの大学へ63名の学生を派遣。新たにジャワハルラール・ネルー大学、管理工業大学(共にインド)とも協定を締結しました。また、留学生増加に向けて、ゲストハウスの利活用の周知やHP及び募集要項の英語化に取り組みました。

③ 就業力育成と就職率維持、県内就職の促進

■ 外部テストとIPU-Eマップとの関連性を確認

IPU-Eマップの補完として本格導入されたPROGテストを、全学部の1・2年生全員を対象に実施。結果についての検証を行い、関連性が高いことを確認しました。

■ 大学間連携によりインターンシップの機会を拡大

IPU就業サポーターズ(本学が実施する就業力育成事業に対し、講師派遣や、インターシップ・企業見学の受け入れ等により支援・協力をいただく企業等のこと。)等の協力を得ながら3大学(本学・岩手大学・盛岡大学)が連携してインターンシップを行い、過去最高の197名が参加。平成27年度から本学が主体となって「インターンシップin東北」(岩手、山形、福島の6大学による学生のインターンシップの相互乗入れのシステム)の運用を開始し、東北地域内での就業体験と地元定着への取り組みを進めました。

■ 学生の県内定着に向けた取り組み

学生の県内就職を促進するため、就職説明会及び業界・企業研究セミナーなどを実施。教職員対象の「企業訪問バスツアー」や就職担当職員対象の「効果的な採用活動研究会」、学生対象の「地元企業を知ろうプロジェクト」及び「合同就職フェア」等のセミナーやイベントなども行い、多くの参加が得られました。

県内企業ミニ合同就職説明会

IPUゲストハウス開所式


■ 公務員試験対策の強化

全学部の学生を対象として、本学OB・OGの若手公務員5名を講師とする公務員向けセミナーを実施したほか、学生の希望に応じて模擬面接、模擬集団討論を実施しました。その結果、「公務」内定者は66名となり、過去最多となりました。

④ 地域に評価される研究の推進と成果の公表

■ 地域課題に対応した研究の推進

新たに設置した地方創生支援チームにおいて地方創生協働研究を実施し、人口ビジョン及び総合戦略を策定しようとする県内10市町村に対して、専門的な知見を活かしながら支援を行いました。また、震災からの復興加速化プロジェクトとして3件の研究を推進し、研究の進捗管理を支援するため、評価結果をフィードバックしました

■ 研究成果発表会の開催

「岩手県立大学研究成果発表会」を9月に合計3日間開催し、延べ132件の研究成果を講演及びパネル展示で公表したほか、各学部の研究成果を学部内学会誌や学部ホームページなどでも公開しました。また、いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンター(i-MOS)と地域政策研究センターの研究成果を各種展示会などで紹介するとともに、報告集を企業、自治体等に配布するなど、広く周知を行いました。

■ 外部資金の獲得の推進

科学研究費補助金(科研費)の応募・獲得を推進するため、教員への研究計画のブラッシュアップ支援、委嘱アドバイザーによる指導助言などが受けられる制度の見直しを行いました。また、各種展示会、マッチングフェア等への出展を通じた本学研究成果のPR、教員への競争的資金の情報提供と申請に当たってのブラッシュアップなどに取り組みました。

⑤ 産学公連携の強化とシンクタンク機能の発揮

■ 滝沢市IPUイノベーションセンターとの連携促進

滝沢市IPUイノベーションセンター入居企業との共同研究をはじめ、インターンシップの受入や、PBLをはじめとする本学授業への協力を得ました。また、センター内に県大発学生ベンチャーが入居できるスペースを設置するなど、連携強化に向けた取り組みが進んだほか、入居企業と教員の協業を促進することを目的に、定期的な意見交換を実施しました。

■ i-MOSにおける技術者育成や製品開発の推進

高度技術者養成講座を20講座実施したほか、三次元造形技術に関する若手技術者を育成するための研修会を6講座開催しました。また「いわて環境と人にやさしい次世代モビリティ開発拠点プロジェクト」において、3テーマの研究活動に取り組み、企業での実用化開発を進行中。平成28年3月まで車載ネットワーク規格CAN教育システム、自転車競技練習用センサー、観光向けアプリなど4件の事業化が実現しました。

■ 地域課題の解決に向けた取り組みの推進

各学部の専門領域に基づき、自治体や民間企業等と連携しながら地域課題の解決に向けた様々な活動を実施しました。

■ 復興と地方創生に向けた自治体との連携強化

県内市町村の地方創生総合戦略の策定等を支援するため、地域政策研究センター内に地方創生支援チームを設置。有識者会議等に教員を派遣するとともに、13市町村に対しては人口ビジョンおよび地方版総合戦略策定等に関する調査・分析や素案の作成、同戦略の推進等について支援を行いました。

⑥ 大学の理念等の実現に貢献する教職員の育成

■ FDとSDを融合させたセミナーの実施

FD(ファカルティ・ディベロップメント)・SD(スタッフ・ディベロップメント)セミナーのあり方を見直し、学部・教職員間を越えて現状の課題を共有すること、各学部の特性に応じた教育実践へのフィードバックを可能とすることなどを目的として、新たに2回の演習形式の全学セミナーを実施しました。

■ サバティカル制度の計画的・効果的運用

サバティカル研修に教員2名(国内、国外各1名)を派遣したほか、適正な制度運用のために、要綱に規定する経費等における取り扱いの整備を行いました。

■ 人材育成ビジョン&プランによる職員のキャリア形成支援

外部派遣研修へ職員を派遣してキャリアアップ支援を行ったほか、教職員間交流研修の一環として懇談会を実施しました。

岩手県立大学研究成果発表会