「全学体育祭を終えて」
今年の天候はいったいどういうことでしょうか。いつもだったら、初夏の日差しに映える新緑の向こうに、本学を見守るかの様に岩鷲山が姿を見せているのに、学長室から見えるカラ松並木の向こうは、今日も灰色一色です。
先週の土曜日(12日)もそうでした。せっかくの全学体育祭も、グランドで躍動する学生達を見守るはずの岩鷲山は姿を見せず、ハッキリしない雨模様の天候に、体育館内で行うことになりました。走り回るには手狭でしたが、実行委員の諸君の工夫もあって、全種目を無事、楽しくやり遂げたことに、感謝、感謝です。グランドに比べて足下がしっかりしていたので、天候を気にせず、競技そのものを楽しめた様にも思いました。
いつもながら、学生も教員も参加数の多い看護学部の団結力はさすがです。第1回目に次いで今年も、数少ない男子学生のがんばりもあって総合優勝をさらいました。参加数が最も多かった教職員チームが最下位だったのはご愛敬でしょうか。ソフトウェア情報学部と総合政策学部は参加者が少ないため今年も合同チームとなりましたが、男子が多いこともあり3位に滑り込みました。
体育祭は、本学の学生が様々な分野でもっと元気に活躍してほしいという私の想いから、一部の学生に持ちかけて始めて貰いました。今年で四回目、宮古短期大学部からも参加しての開催は三回目になります。青空の下で活発に走り、動き回る学生達、それを応援する声援や笑い声、これらが本学の一年間の元気の始まりになることを念じていました。
しかしながら今年は教職員の参加数が最も多く、片道2時間もかけて参加した宮古短大部が看護学部に次いで多かったのに対し、四大の他の3学部の参加者の少なさに、様々な事情があったとはいえ残念に思いました。実行委員会の諸君が準備に走り回っている学内行事について、学生の皆さんにはもっと関心を持ってもらいたいと思います。これには教員からのこういった面での意識づけや指導などももっと必要ではないかと考えています。
岩鷲山が見えない今日のような日は、こういう様なことを考えてしまいます。
「岩手の本当の復興」
いま学長室からは、やや霞みがちの青空の中に雪解けの進んだ岩鷲山が見えます。それを背景に、満開を過ぎた桜並木とその後ろに背の高い深みを増しつつある新緑の唐松並木が横に一列に並んで、まるで屏風絵の様です。これからの1年を期待させる本学キャンパスの最も美しい春景色の一つです。
ところで、先日久し振りに映画を見ました。水谷 豊主演の「HOME 愛しの座敷わらし」です。県内各地で撮影されたとのこと、岩手山はもちろん、盛岡のいろいろなところが映っていました。岩手の自然の豊かさがふんだんに映し込まれており、岩手を離れている方々には懐かしさを覚えることと思います。
物語は、食品会社に勤める主人公の開発の仕事がうまくいかず、盛岡支社に左遷されたところから始まります。都会生活しか知らない家族が岩手に引っ越してきて広い曲がり屋に住み、慣れない田舎生活に戸惑って家庭崩壊が起きそうなところを、屋敷に住み着いていた「座敷わらし」との出会いで変わっていく・・・というお話です。いわば岩手という田舎を舞台にしたホームドラマで、岩手の良さや美しさを感じることができ、涙腺を刺激する場面もありました。
しかし一方では、相変わらず岩手が左遷の場所として使われている中央目線の筋書きに釈然としない思いが残ったのも事実です。
地方の良さを引き出すとか、地方分権とか、地方の活力創出ということが言われているなかで、依然として東京を中心としたものの考え方が変わらないことに違和感を感じるとともに、この意識を大きく変える岩手にすることが、本当の意味での震災からの復興であると思った次第です。

( ↑ 春の学長室の窓からの眺め: 中村学長撮影)
「県大活力の素 !?」
久し振りに学生と語り合う機会がありました。AO入試で入学した学生との座談会でした。本学を志望した動機や入学まで、大学生活でのこと、県大への要望など、話しは尽きず予定を45分もオーバーしてしまいました。
AO入試については、半年以上も前に入学が決まるため、一般選抜で合格した学生達との学力差がしばしば話題に上りますが、その危惧はすぐに消えました。本学では入学前教育をしっかり行っていることもありますが、出身高校でも、英語や数学などを特別に個人レッスンしてくれているところがあることを聞き、驚きました。そのお陰で大学の授業にもついて行けるとのこと、高校の先生方に感謝、感謝です。必ずしも全ての高校がそうはいかないでしょうから、ついていくのに苦労している学生もいるようですので、入学後は本学の先生方の懇切なご指導に大きく期待するところです。
本学のAO入試では、「本学で学ぶことを強く希望」し、「入学後に何をどのように学びたいかの明確な目標と強い意欲」があり、「それを実現するための能力と活動について高く自己評価できるものをもっている」ことを重視していますので、その気持ちを面接などで強く訴えることができた学生が入学しています。
それをあらわすかの様に、座談会では小気味良いほど自分の考えをはっきりと述べてくれました。キャンパス・アテンダントや様々な課外活動にも積極的に参加し、大学生活をエンジョイしている様子が窺え、うなずけました。聞けば、AO入試で入った学生の多くが学内外でリーダー的な役割を果たしているとのこと、正に「本学の活力の素がここにある」という感すら抱きました。
彼らは将来の夢や志す方向もしっかり持って入学したはずですが、1年2年と学ぶ中にいささか迷いを感じ始めている様子も垣間見えました。それが大学で学ぶということだろうと思います。視野の広がりとともに千々に迷い、そしてその中から確かな道を探し出し、さらに前へと進んでいって貰いたい、とつくづく願わずにはいられません。
冬と春のせめぎ合いの中での入学式
春の日差しでようやく地肌を見せた芝生も、激しく舞った今朝の雪で、また白く隠れてしまいました。新年度を迎えても、どこかで春が足踏みをしている感じの滝沢キャンパスです。
4月4日には異常な激しさの春の嵐が通り過ぎ、名残の風が未だ吹き荒れる中を宮古キャンパスで、また5日には、時折横殴りの雪が激しく降り散る中を滝沢キャンパスで、ご来賓や多数の保護者の方々の見守る中、併せて745名の新入生を迎えました。昨年は東日本大震災のために見送られた入学式でしたので、殊さら感慨深いものがありました。式辞を述べる間、これから始まる大学生活への期待を込めた、射るような新入生の視線に、眩しさと責任の重さを感じました。彼らの期待を裏切ることなく、充実した県大での生活を送らせ、一人も欠けずに卒業させたいものです。
入学式に合わせ、東日本大震災大津波で亡くなられた方々のご冥福と、一日も早い被災地の復興を祈念して、宮古キャンパスでは祈念碑の設置と祈念植樹を、滝沢キャンパスでは祈念植樹を行いました。植樹したのは、種類の違う、いずれもカエデでしたが、これらが青々と葉を茂らせる頃には、活気溢れる沿岸部に復興・発展していることでしょう。
今年の滝沢キャンパスの入学式は、一昨年まで行われていた盛岡駅西口の盛岡市民文化ホール(マリオス)から本学に隣接する岩手産業文化センター(アピオ)に会場を移しました。体育館のような大きな会場ですので不安がありましたが、建物としても音響的にも予想外の立派な造りで、厳粛な雰囲気の中で入学式を行うことができました。関係者には会場づくりなどでたいへんご苦労をおかけし感謝申し上げます。初めての場所で不慣れな点があったかもしれませんが、天候以外は、大変良い入学式であったと思います。
と書いている間に、先ほどまで日差しがあって穏やかだったのに、あっという間に風が強まり、吹雪になって、岩手山どころか目の前の共通講義棟も見えなくなりました。相変わらずの変な天候です。何かと天変地異の激しい昨今です。来年こそ、春めいた穏やかな天候の中で入学式を迎えたいものです。
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| 4月4日 宮古短期大学部入学式(宮古短期大学部 体育館) | 宮古キャンパス 復興祈念植樹式(宮古短期大学部 学舎前) |
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| 4月5日 県立大学、大学院、盛岡短期大学部入学式(岩手産業文化センター アピオ) | 滝沢キャンパス 復興祈念植樹式(滝沢キャンパス 第一調整池付近) |
675名の旅立ち
今日の岩鷲山は、待ち遠しい春が近いことを思わせる白みを帯びた青空の中に、ごく薄い白のレースのカーテンの向こうにあるかの様に全身を見せています。卒業式を終え、それぞれの赴任地や進学先に旅立つ若者の前途に幸多かれと祈る様に…。
平成23年度岩手県立大学、岩手県立大学大学院、岩手県立大学盛岡短期大学部の学位記授与式、いわゆる卒業式は、昨日22日に滞りなく行われました。またそれに先立つ先週16日には、岩手県立大学宮古短期大学部の学位記授与式も行われました。両キャンパスで合わせて675名が、新たな道へと旅だっていきました。
昨年は予期せぬ大震災のため卒業式を中止し、滝沢キャンパスでは学部毎に集まって学位記を渡しただけでしたし、宮古キャンパスではそれさえもできませんでした。止むを得なかったとはいえ、昨年度の卒業生には大変気の毒な思いをさせてしまいました。
今回、私にとっては2年ぶりの卒業式で、震災後ということもあって、新鮮な気持ちでかなりの緊張感を持って臨みました。ほぼ半数を占める女子学生が華やかさを醸し出す中で、厳かに、しかも礼儀正しく進行し、私が経験した中でも久々に胸を打つ良い卒業式でした。卒業生代表の挨拶には、震災後のボランティア活動に触れた部分もあって、これまで以上にグッとくるものがありました。
夕方には、各学部の卒業パーティーにお招きを頂きましたが、盛岡短大部を含む5学部を1学部20分程度で回らなければならないので、卒業生たちに十分お話を聞く時間も無かったのが残念でした。卒業生の喜びもさることながら、今年も無事卒業生を送り出せたという安堵感を滲ませた先生方の顔の方がより印象的でした。
先生方、ご苦労様でした。卒業生の皆さん、Bon Voyage !!
| 岩手県立大学、岩手県立大学大学院、岩手県立大学盛岡短期大学部(3月22日 マリオス大ホール) | 宮古短期大学部(3月16日 宮古短大部体育館) |
東日本大震災から1年
あれから、もう一年。あの日、学長奨励賞の受賞学生との楽しい懇談会を終え、夕方から仙台で予定されている会議に出かけようとしていた矢先の、突然の大揺れでした
次々と伝えられる異常事態の連続に、「こんなことが起きるの!」とテレビ画面に呆然としながらも、宮古短大部の安否、学生の安否、入試の後期日程や卒業式、入学式等々、緊急に対応しなければならない学内の様々な課題に、各学部や本部の皆さんの協力を得て慌ただしく対応していたことを思い出します。
それから3週間ほど過ぎた4月上旬、私は県大を代表して被災のお見舞いと復旧・復興へのご協力をお伝えするため、県内被災11市町村を訪問しました。道すがら目に入る津波の破壊力のすさまじさ、中でも、三陸鉄道の島越駅付近では高架橋や駅舎が完全に崩れ落ち、陸前高田では街並みが無くなっている状況に、言葉がありませんでした。とてもカメラには写し込めない惨状に、写真撮影も止めました。
宮古には、その後個人的にも幾度か出かけましたが、閉伊川の下流にかかる45号線の橋桁や市役所に近づくと、津波が漁船を乗せて堤防を越え、車や家を流すテレビ映像で見た情景が思い出され、息苦しく動悸が早まるのを感じます。
今年の1月末、野田武則釜石市長をお訪ねする機会がありました。その帰りに、2冊の本を頂きました。1冊は「近代製鉄の父」といわれた「大島高任」についてのものでしたが、もう1冊は石井光太氏による「遺体 震災、津波の果てに」でした。
その石井氏の著書は、大津波災害の別な一面を訴える名著でした。とかく私たちは津波の物理的破壊力の凄さにだけ目を奪われ勝ちですが、愛する家族、親しい人が目の前で津波にさらわれ、助けられなかった方々の無念さ、心の傷の深さは、被災者でない私には、到底はかり知れないことでした。
ハード的な復興は、知恵を出し、お金を注ぎ込めば、右肩上がりで進むでしょう。しかし、大津波で負わされた心の傷、辛さや遣り切れなさは、復興が進むとともにむしろ深くなる様に思われます。時間が解決するところもあるでしょうが、心の傷が癒されなければ、被災者の本当の復興はないのでは、と改めて強く感じました。
本学の学部構成等の特徴を活かし、県内外を問わず精神的な悩みや心の傷を癒すお手伝いは、県大ができる大きな役割の様に思います。全国の大学を捲き込んでその一役を担ってくれた学生ボランティアセンターのGINGA-NETプロジェクトには、大いに敬意を表するとともに、今後とも支援を続けたいと思っています。
学生諸君の活躍に感動!!
先日、2月10日に、「平成23年度学長奨励賞授賞式」を行いました。
研究、課外活動、社会活動等の面で顕著な活躍をした学生の皆さんが対象で、全部で26組が受賞しました。
情報処理学会全国大会やJST支援プログラム採択などでのソフトウェア情報学部及び研究科の皆さんの学術分野での受賞のほか、東日本大震災発生直後の学生や地域の方の安否確認、そしてその後の被災地・被災者への支援活動など震災関連の取組みによる社会貢献分野での受賞が多かったのが特徴です。テレビ、ラジオ、新聞などで多数取り上げていただいた「いわてGINGA-NETプロジェクト」や「復興girls*」も受賞しています。
授賞式終了後、受賞者の皆さんと懇談する会を持ちましたが、昨年度にくらべて人数が増えただけでなく、学生のみなさんの学業や研究、そしてそれ以外の幅広い分野にわたる活躍が一層盛んになってきていることを感じ、本当に嬉しく、誇らしく、そして頼もしくも思いました。
これは、本学が「中期目標」の中で掲げている「学生を主人公とした学生の志を高める教育」、そして私が学長就任以来抱いてきた「活力あふれる大学にしたい」という想いと合致する学生たちの活躍であり、感動すら覚えました。
これからも「学生目線」に立って、学生たちの様々な活動を大いに支援していきたいと思っています。
新企画スタート。そして志願倍率を見て想うこと・・・
岩手県立大学内の学長室の窓からは雄大な岩手山を一望することができます。
この岩手山には、春先の雪解けの形が「鷲」のように見えることから「岩鷲山」という別名がついています。
学長室の窓から「岩鷲山」を望みながら、学内外のことについて想いをめぐらせ、それをこの場でお伝えしていきます。
(事務局注:ページタイトル部分の背景写真の岩手山は、実際の学長室からの眺めを学長自ら撮影したものを使用しています)
さて、滝沢キャンパスも、岩鷲山も白く雪化粧しているこの時期は、まさに受験シーズン真っ最中というところでしょう。
本学でも一般選抜の「平成24年度入学者選抜志願者数」を発表したところですが、前期・後期日程を合わせた4つの学部の合計の志願倍率が昨年の6.2倍を上回る7.8倍という状況となりました。
昨年3月の東日本大震災を経験し、厳しい環境におかれている被災地にある大学として、昨年を上回るという結果となったことは、大変意義深いことだと考えています。
この時期に本学を選んでいただいたということの意味や気持ちに応えることができるような教育を提供できるよう、一層気を引き締めていきたいという想いで一杯です。